【男主】もう一人の六年生は任務中 捌【忍たま】

一夜の廃城 二段 ページ32

side A

_________________________________________







一瞬固まる。




え？

話を遠回しにしてまで聞く内容か…？

文次郎とか話題が薄すぎるだろ(((



















『ど、どうと言われましても…』


仙蔵「そんな難しく聞いてない。好きか嫌いかでいい」


『いや、嫌いだよ』


仙蔵「即答だな…」



















誰があんなヤツを好きになるかよ。



あんなのただのガキ

まだまだガキ

ずっとガキ(((



















仙蔵「何がそんなに嫌いなんだ？」


『んー……そう言われると…難しいな』


仙蔵「はぁ……まったく、お前達は…」


『お前達？』



















どこが嫌いと言われれば悩んでしまう。

あり過ぎて(((




傾げる俺に仙蔵は「お前達」と口にする。

俺だけじゃないのか？



















仙蔵「文次郎もお前の事は嫌いと言っていた。」


『あっそ』


仙蔵「だが、どこが嫌いなんだと聞けば頭を悩ませる。お前達、本当はお互いを知らないだけなんじゃないのか？」


『知ってどうするんだ』


仙蔵「それも言っていたぞ。」



















文次郎も俺のことが嫌い。


いや、そんなのわかってたよ。




毎日毎日しつこいくらい勝負だと言ってきて、

嫌気が差す。



















仙蔵「つまらない人生だな。」


『は？』


仙蔵「お互いを知らないが故に罵り合って、分かり合えないまま一年後には離れていく。つまらない人生だと言っているんだ。」



















俺の何を知ってそんな事を言っているのか。

でも、仙蔵の言っていることは間違ってない。



俺は皆から逃げたくて任務に行っていた。

それを見透かされているかのような感覚。







俺が任務に行かなければ、

文次郎とも仲良く出来ていたのか？




俺が任務に行かなければ、

皆を巻き込んで文化祭や

大運動会を二回もしなくて済んだのか？





俺が任務に行かなければ、

普通に授業を受けて

委員会にも…











庄左ヱ門だって泣かせなかった。



















『悪い……』


仙蔵「あ、いや、すまん。そんなに落ち込むとは思わなかった…」


『仙蔵は間違ってないよ。確かに俺は皆から逃げていた。関わりたくなかったんだ』



















俺は体育座りで顔を伏せる。


辺りが完全に暗くなる。



________

一夜の廃城 三段→←一夜の廃城 一段

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す