【男主】もう一人の六年生は任務中 漆【忍たま】

百聞は、 五段 ページ45

side A

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留三郎「百聞は一見に如かずだ。文化祭当日にそれが何なのかを知ればいい。」


小平太「で、その手伝いをして欲しいんだ！」


文次郎「会計委員会だ！」


留三郎「待つんだ二人とも。その手伝いをAに頼むのは駄目だ」


文次郎「なんでだよ！」


留三郎「何でもだ！(((」


















留三郎の言うとおり

聞くより実際に見たほうが早い。



俺の体調を知っているからか、

代わりに手伝いを断る。



が、その理由にはまったく説得力が無かった…



















土井「Aー！」


『ん？ 土井先生。何ですか？』


土井「皆で何してたんだ？」


『え？ 別に』


留三郎「土井先生、文化祭をやるって本当ですか？」


土井「さすが六年生は耳に入れるのが早いな」















名前を呼ばれて振り返れば土井先生。



何の用かと聞くが、

何をしているのかと逆に問われる。



なんだ？

世間話をしに来たのか？



よくわからない流れを留三郎が

文化祭の話題へ持っていく。















土井「この前の職員会議でAの話から文化祭をやることになった。ところでA、今時間いいか？」


『…いや、ちょっとこの後やることがあるから』


土井「A、大事な話なんだ。」



















土井先生の表情が真剣になる。

正直、土井先生とはあまり話したくない。



用事があるからと

嘘を言っても逃げられないようだ…



どうせ体調のことだろう。

新野先生が何か言ったか？





俺は黙ったまま土井先生の後を追った。

着いたのは見張り台















『話って何ですか？』


土井「……身体、大丈夫なのか？」


『やっぱりその話か。新野先生だろ？ 大袈裟なんだって。』


土井「吐血ともなれば新野先生だって心配するだろ…。で、薬は？ 治療の話も新野先生からあったはずだ」












聞きたくなかった。

なんならどうでもよかった。

自分がどうなろうと構わなかった。



最近、体調が優れないのは

梅雨の温度差が原因だ。



それと吐血はあまり関係無いが…














土井「頼むから自分の事は大事にして欲しい。」


『考えとく』









言っても駄目だと思ったのか

ため息を吐いた後

土井先生は静かにその場を去って行った。


独りになって、ある約束を思い出す。










長次、俺はその約束を守れないかもしれない。


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