story＊135 ページ40
重｢…あかん。｣
さっきから吹き始めた風のせいで未舗装の地面の砂が舞い上がって、まるで砂嵐。
超健康体の俺でも咳き込むレベルやし、喘息の人にはかなりキツい筈。
…それに、気温がｶﾞｸｯと下がったのか肌寒くて、現に慧くんの華奢な体は既に冷え切ってる。
こんな所に長く居たらどんどん悪化するだけや。
…そう思って吸入は一旦後回しにして、何処か室内に運ぶのを優先する事にした。
重｢慧くん、背中乗って。｣
慧｢ｹﾞﾎｯ…っ、は…い…ｯ…ｹﾞﾎｯｺﾞﾎｯ…ﾋｭｰｯ…｣
重｢……ｯ軽いな、ほんま。｣
俺と殆ど身長の変わらん慧くんをおんぶして立ち上がったら、異様な軽さに驚きを隠せへんかった。
…けど、今はそれどころとちゃうから、耳元で【ｾﾞｰｯ…ﾋｭｰｯ…】って酷くなり始めた喘鳴に、急いで暗闇の中を歩いて宏太くんの家に向かい、扉をﾄﾞﾝﾄﾞﾝｯと叩いた。
？｢はぁーいっ？誰ですかーっ？…って、慧ちゃんっ！？｣
重｢えっ、あっ、ごめんっ…お兄ちゃん居るっ？｣
大｢う、うん！いるよっ！…僕、呼んで来るっ！｣
いつの間に帰ってきたのか、出て来たのは宏太くんの弟の大貴くんで…俺の方を見上げるなり、真っ青な顔色で激しく咳き込む慧くんに気付いて、宏太くんを呼びに行こうとしてくれた。
でも…この狭い部屋やから、大貴くんが中に戻る前に騒ぎを聞きつけた宏太くんが奥から出て来て、俺達の姿を見て目を見開いた。
宏｢えっ、慧ｯ！？…し、重岡さんっ、何があったんですかっ！？どうしてこんなっ…｣
重｢宏太くんごめん、話は後や。…壁際に布団を敷いてほしい。毛布も一枚借りたいねんけど…｣
宏｢ｯ分かりましたっ…直ぐに用意しますっ…！｣
慌てて部屋の中に戻る宏太くんに続き、俺も慧くんを背負ったまま靴を脱ぐ。
中々脱げへんブーツに苛立ちながら、ぶっ壊すんちゃうかってくらいに無理矢理脱ぎ捨てて、ちゃんと慧くんが履いてたスニーカーも玄関に置いてから、また部屋に上がった。
宏｢これで…大丈夫ですかっ？｣
重｢おん。ありがとう。…慧くん、しんどいな。ここ座ろな。｣
慧｢ｺﾞﾎｯｺﾞﾎｯ…ﾋｭｰｯ…ｾﾞｰ…ｹﾞﾎｹﾞﾎｯ…っ…｣
宏太くんが敷いてくれた布団の上に慧くんを下ろして…
横になるのは無理やろうから壁に凭れるように座らせ、冷え切った体を毛布で包み込んだ。
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和音(プロフ) - 祐莉さん» いつもコメントして頂き、ありがとうございます(^^)これから益々物語が展開していきますので、是非楽しみにして頂けたら嬉しいです！これからもこの作品を宜しくお願い致します(^^) (2020年2月14日 23時) (
レス) id: eff15bf988 (このIDを非表示/違反報告)
祐莉 - 楽しく読ませてもらってます！イースト帝国の闇は深いですね！ ウエスト王国もイーストに侵略されれば同じような状況になるのは、明白だから今後ウエスト側がどう動くか気になります！ (2020年2月13日 15時) (レス) id: ea9cf53e18 (このIDを非表示/違反報告)
和音(プロフ) - そらさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けると、とても励みになります！これからもこの作品をよろしくお願いします(^^) (2020年1月9日 18時) (レス) id: eff15bf988 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - 更新を楽しみにしております。 (2020年1月9日 1時) (レス) id: c08660417e (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - すごく面白いです。 (2020年1月9日 1時) (レス) id: c08660417e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和音
| 作成日時：2019年12月28日 17時
