青×事故 ページ33
-正門side-
今日は東京で1人、ドラマの撮影。
メンバーや仲間のおる関西を離れるのは少し寂しいけど、Aぇの為に頑張らんとね。
正｢…よし、大丈夫や。｣
大御所の役者さんも多い現場やから、俺のミスで止めるなんて許されへん。
台本片手に昨日必死に叩き込んだ台詞を反復して、完璧な状態で挑む撮影。
お芝居は大変やけど、やっぱり楽しいが勝ってまうねんなぁ。
…でも、順調に撮影が進んで、そろそろ休憩挟みますって時やった。
正｢…え？｣
背後でｷﾞｨｨｯって金属の擦れるような音がして振り向いたら、成人男性よりデッカい撮影機材が傾いてる。
その真下には子役の女の子。
驚きで足が動かんくなってもうたのか、泣きそうな顔して立ち竦むその子と目が合う。
"助けて"そんな声が聴こえた気がした。
咄嗟にその場所に走ったのは、殆ど無意識やったと思う。
正｢危ないっ…！｣
間一髪、背中を押した。
かなり強い力で突き飛ばしてもうたけど、大丈夫やったかな。
それと同時に、後ろからマネージャーの大きい声が俺を呼ぶ。
目の前の真っ黒な影が俺の影に重なって、大きくなって、それから…それから。
聞いた事が無いような鈍い音。
全身に降り注ぐ大きな衝撃に、耳がキーンとした。
ホンマにヤバい時って、感覚が鈍くなるんやね。
あぁ…あかん。
これ、もしかしたら死ぬんかな。俺。
マネ｢＿＿＿＿、…？｣
｢＿＿＿＿っ、＿＿＿＿！！｣
マネージャーさんやスタッフさん、共演者の方々の声がするけど上手く聞き取れへん。
ｻﾞｰｯて嫌な耳鳴り。
機材が当たったんかな、それとも地面に打ち付けたんかな。
頭がガンガンする。
体の上におっかかった物が重たくて、どかそうにもビクともせえへん。
というか…足、動かへんわ。
だんだんと視界が白く霞んできて、勝手に瞼が下がって眠くてしゃーなくて…
周りの声に何の返事も出来ひんと、そのままゆっくりと目を閉じた。
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作者名：和音
| 作成日時：2023年11月18日 2時
