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しばらくこのまま、
そう思っていたけど、ぽつぽつと雨が降って来た。
「 うわ、やば 」
そのまま小走り。近くのｺﾝﾋﾞﾆに入って、傘を買うことにした。
一本だけ買って相合傘したいなぁ、と思ったのに、ﾆﾉはさっさとﾋﾞﾆ-ﾙ傘を二本買ってしまった。
「 はい 」
「 …ありがと 」
「 何？どうかした 」
「 相合傘したかったなーー、って 」
少し上目遣いで言ってみる。ﾆﾉは特に反応を見せず、
「 だってあなた会社戻るんでしょ？ Aが帰れるのをずーっと待つわけにも行きませんしねぇ 」
と正論が返って来た。
二人同時に傘を広げ、小雨の中を歩く。先に歩き出した彼は、どうやら私を会社まで送り届けてくれる様だ。
慌てて追いかけて隣に並ぶ。狭い道だと、互いの傘がぶつかって上手く歩けない。
ﾆﾉはそんな私を見て笑っていた。
おちゃらけて、拗ねた様に口を尖らせて見せる。拗ねたﾆﾉの真似だ。
私を見て、優しく笑っている彼を見ると、幸せで口が笑いそうになるけれど。
ねえ、きみは知らないだろうけど、きみが、きみとの時間が、私にとって一番大事なものだよ。
「 ねえ、何笑ってるの 」
「 ごめん 」
「 ごめんじゃ、 」
雨が止んだかと思った。
目の前にﾆﾉの顔が来て、気づけば私達の唇が重なっていた。
優しく、
優しく。
「 …今日、変だね？ 」
離れてから、内心ﾄﾞｷﾄﾞｷが止まらないまま、平静を装って聞く。普段こんな愛情表現をしないﾆﾉが、2度もしたことに、一抹の動揺を感じる。
気づけばもう私の会社の前。正面玄関を一瞥して、彼は答えた。
「 出来るだけ早く帰って来てね 」
彼は、いつにも増して優しく私を見ている。
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作者名：(にゃん) | 作成日時：2019年7月13日 10時
