doll*191 ページ1
*赤side*
赤「深い霧やな…」
リュウセイと別れてから暫く経って……俺は真っ白な世界をさまよってた。
…トモヒロを探してるうちに、いつの間にかおかしな所に迷い込んでもうたみたいや。
赤「ニックがおらんかったら何にも見えへんっ…」
ミルクのように真っ白な濃い霧の中、自分がどこにおるんかさえも分からんくて…不安で不安で……無意識に大好きなあの子の名前を呼んだ。
赤「…ともっ……どこ行ってもうたんよ……
もしかして…このミルクの中におるん…?」
真っ白な世界に問いかけてみても、返事が来ることは無くて…
…ただ、怖いほどの静寂が続くだけ。
…わかってる。
トモヒロが返事をせえへんってことくらい。
でも、少しだけ…ともの気配を感じたから。
ちょっと試してもうただけやねん。
赤「…まずはここから抜け出さな……」
このミルクの中におったら…リュウセイと合流する事も、アカリちゃんのお家に帰ることも出来ひん。
せやから、抜け出さな。
…そう、思っててんけど……
ニック【チカチカッ!】(ヒュンッ)
赤「えっ、ちょっ…ニック!?どこ行くんよ!」
俺の隣を飛んで明かりになってくれてたニックが、急に物凄いスピードで前に飛んで行ってもうて……どんどん遠ざかってまう。
赤「っ、ニック!待ってやっ!行かんといてっ!」
ニックの放つ赤い光だけを頼りに動けてた俺は、あっという間にミルク色の霧の中。
…手足をばたつかせて霧をかきわけようとしても、踠けば踠くほど纏わりついて飲み込まれる。
まるで、ミルクをかき混ぜたクリームみたい。
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作者名:和音 | 作成日時:2018年10月24日 14時