5-1*報イ ページ17
『泡沫少女』。
それは古くからこの学園に存在する怪異。
とある幽霊少女、「刻音さん」は記憶を消す力を持っていて、嫌な記憶やその記憶に対する嫌な気持ちを消してくれる。
でもとっても気まぐれに記憶を消すから、ド忘れの原因でもある。
地味だけど、この学園の均等を守るには必要な存在なんだとか。
役目を全うする。
少女である。
名前を刻音に改名する。
力を悪用しない。
この4つを受け入れる人が意外と少なくて後継者がいなかったらしい。
私がこの怪異になれば私の罪は許される。
しかもまだ普の側にいられるなんて。
私はこれを第二の人生のように思っていた。
でも、やっぱり死は終わりだった。
それ以上でもそれ以下でもないんだ。
誰も私のことが見えない。
触れない。
私がいなくても世界は回るんだって。
そんな当たり前のことが辛かった。
でも土籠先生とは仲良くなった。
将来普がどうなるかも教えてくれたし、
怪異になりたての私にまた先生として色々と教えてくれた。
普がこの学園内にいる限り、私はずっと側にいた。
…トイレとかそういうの以外だけど。
そして、いつものように先生に治療をされていたある日、彼は言った。
「Aはさ、あの月よりも遠いところへ行ったのかな。」
私はこんなに近くにいるのに。
そう思って手を重ねようとすれば、嘲笑うかのようにすり抜ける手。
ただの友達だったら悲しいだけだった。
でも、普は先生になる。
好きな人に一生認識してもらえない。
普が生きることを願って私は人を殺したのに。
他人の命を奪ったのに自分の死は受け入れられない。
私への報いかのように、ただそれが辛かった。
その時に思った。
『普のことを忘れられたら』。
でも普の存在は私にとって大きすぎる。
それなら全部忘れてしまえば?
私はメモに覚えておきたいことを全て書き、
土籠先生にも説明した。
先生はすごく驚いた顔をして、
止めようともしてくれた。
それでもなんとか説得して、私は自分の記憶を消した。
恐らくこれは悪用には入らないし、
普の未来を妨害するわけでもない。
先生には迷惑かけちゃうけど、
そこはご愛嬌で。
きっと普は
許してくれるよね。
最後までこんな言い訳をしている私が大嫌いだ。
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ハヒフ - そこでやめないでくれぇピエン (2022年2月21日 21時) (レス) @page19 id: ee79ae4f81 (このIDを非表示/違反報告)
刃華禰 - 更新待ってます!! (2020年3月25日 14時) (レス) id: 022f9f82f7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきもち。(プロフ) - そうなんですね!ありがとうございました! (2020年3月16日 10時) (レス) id: 9402601da5 (このIDを非表示/違反報告)
ニノミ(プロフ) - ゆきもち。さん» すみません…わからないです…。本作品のcssは他の作者さんが配布していたものを使用しているのですが、その作者さんがいつの間に占ツクを退会されたのかアカウントが消されていて配布も行っていないようです。お役に立たずごめんなさい…。 (2020年3月16日 10時) (レス) id: 913fcb9d41 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきもち。(プロフ) - cssのパスってなんですか?? (2020年3月16日 0時) (レス) id: 9402601da5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ニノミ | 作成日時:2020年2月18日 20時