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4-4*包丁 ページ16

何も言わない私を桜宮さんはご丁寧に蹴りながら見下ろす。


「…いじめ、続けてほしいの?
なら…男友達、たくさん呼ぼうかなあ。」




残念ながら純粋なんかじゃない私は、数秒考えてすぐに意味がわかってしまった。


今までと次元が違いすぎる。




「ぃや………ッ!」




どうにか必死に声を出せば、

彼女はあの気味の悪い笑みを浮かべる。



寒気がした。






「あまねくんの方が面白いと思って。」


美香は口に手を当て、上品に笑った。


普のどこが面白そうかを1人で語りながら窓に向かって歩いていく。






その名前を聞いた瞬間。

痛みが消えた。


言葉に言い表せないような感情、

決して抱いてはいけない筈の使命感。


無理矢理体を動かした。







「だから今度からあまねくんと友達になろうって思ってね」



窓を開け、身を乗り出して校門の方を見る。

そこにはAのことを1人で待っている普の姿。


美香はそれを見て更に口角を上げた。




丁度近くにあった棚を見ると

包丁があった。



桜宮さんを見れば丁度

窓から身を乗り出している。



大丈夫。

全部この人が悪いんだ。



そんな言い訳をしながらも


音を立てないように、

なんて冷静なことを考える。








「だから私達はもう普通の友達。」





「でも変なことしたら全部バラすよ。」





「…ま、神崎さんはそんなことする度胸な」








私は後ろから桜宮さんの心臓を刺した。

そしてそのままぐ、っと前に押す。



空中に浮かぶ桜宮さんと目があった。







嫌な音が響く。





私、



人を、?







(キミ)の為に人を殺した。


決して自分の為じゃない。




大丈夫。


ダいジョウぶ。


だいじょうぶ。



本当はわかっているけれど。







外から死体だ、って大声が聞こえる。



私は包丁を自分に向けた。








人殺しの私は、普の隣にはいられない。





何も言わずに置いて行ってしまったこと。



約束を何個も破ってしまったこと。



普のことをちゃんと知れなかったこと。





…後悔ばっかりだなあ。



大好きな君のことを考えると笑みが溢れた。





大丈夫。


普の為なら、怖くないから。





だって…









ぐちゃ









.



.



.









「…非常に残念なお知らせだが、」





「桜宮美香と神崎Aが____」

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ハヒフ - そこでやめないでくれぇピエン (2022年2月21日 21時) (レス) @page19 id: ee79ae4f81 (このIDを非表示/違反報告)
刃華禰 - 更新待ってます!! (2020年3月25日 14時) (レス) id: 022f9f82f7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきもち。(プロフ) - そうなんですね!ありがとうございました! (2020年3月16日 10時) (レス) id: 9402601da5 (このIDを非表示/違反報告)
ニノミ(プロフ) - ゆきもち。さん» すみません…わからないです…。本作品のcssは他の作者さんが配布していたものを使用しているのですが、その作者さんがいつの間に占ツクを退会されたのかアカウントが消されていて配布も行っていないようです。お役に立たずごめんなさい…。 (2020年3月16日 10時) (レス) id: 913fcb9d41 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきもち。(プロフ) - cssのパスってなんですか?? (2020年3月16日 0時) (レス) id: 9402601da5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ニノミ | 作成日時:2020年2月18日 20時

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