4-3＊特別 ページ15
いつも場所は家庭科室。
事前(大体桜宮さんが帰る直前)にこのお菓子を作れ、と言われる。
だから翌日、私はそのお菓子を作って桜宮さんに振る舞う。
本当に無意味な友達ごっこ。
桜宮さんは偽物の友達を殴るのが好きらしい。
でも、この前の土曜日や今日みたいに急に呼び出されることもある。
そういう日は材料もないのでただ暴力を振るわれるだけ。
でも友達ごっこより全然マシだ。
いじめられてる理由といえば、
虐待されているからだろうか。
確か、母親が薬に依存し黙って家から出て行ってから。
父親はお金持ちだ。
ただストレスが溜まりやすく、私への暴力でそれを発散させていた。
定期的にお小遣いもくれるし、衣服や食事が粗末でもない。
私はまだ幸せな方。
だから、"助けて""辛い"なんて言っちゃダメなんだ。
私は幸せなんだから。
そんなある日、中等部に入ったばかりの頃かな。
突然桜宮さんに呼び出されて言われた。
『虐待されてるの？』
今まで誰にも聞かれたことのない言葉に私はとても動揺してしまった。
その様子を見て確信した桜宮さんは私をぎゅっと抱き締めて、
『もう我慢しなくていいんだよ。』
そう優しく言った。
私はその優しさに大泣きしながら初めて全てを話し、助けを求めた。
桜宮さんはそれが狙いだったのに。
私の家の事情を知り、
"クラスのみんなに拡散してやる"
"お前の親を警察に通報してやる"
そう言われた時は本当に混乱した。
"あの男の子にも教えてやろうかな"
知られたらどうなるんだろう。
幸せな私が普に助けを求めたら何て言われるんだろう。
…嫌われたら？
気付いたら私は桜宮さんの便利なお友達。
飲み物を買ってきて。
お金を分けてほしい。
虐待の痣を見せて。
父親に何されたの。
私もストレス発散したい。
『友達だからいいでしょ？』
今日も痣を上から踏まれたり殴られたり。
…辛いけど、父親に比べれば。
この時間は案外あっという間だ。
暫くすると桜宮さんは飽きたらしい。
すっと立ち上がる。
でも、今日は"特別な日"だった。
「神崎さん。いじめやめてほしい？」
は？
痛みつけられた体は悲しい程に動かない。
やめてほしいに決まってる。
でも突然何？
どうせ何か企んでる。
分かってる。
それでもきっと心のどこかで期待をしていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 273人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハヒフ - そこでやめないでくれぇﾋﾟｴﾝ (2022年2月21日 21時) (
レス) @page19 id: ee79ae4f81 (このIDを非表示/違反報告)
刃華禰 - 更新待ってます！！ (2020年3月25日 14時) (レス) id: 022f9f82f7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきもち。(プロフ) - そうなんですね！ありがとうございました！ (2020年3月16日 10時) (レス) id: 9402601da5 (このIDを非表示/違反報告)
ニノミ(プロフ) - ゆきもち。さん» すみません…わからないです…。本作品のcssは他の作者さんが配布していたものを使用しているのですが、その作者さんがいつの間に占ツクを退会されたのかアカウントが消されていて配布も行っていないようです。お役に立たずごめんなさい…。 (2020年3月16日 10時) (レス) id: 913fcb9d41 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきもち。(プロフ) - cssのパスってなんですか？？ (2020年3月16日 0時) (レス) id: 9402601da5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ニノミ | 作成日時：2020年2月18日 20時
