◇Long vacation◇太輔くん◇part２

45.特別な日 ページ4

外に出て、どこに行こうか彷徨ってた。


・・・しおりのところしか、思い浮かばない。


でも、こんな状態でしおりのところに行っても迷惑をかけるだけだって思った。


・・・それに、私の誕生日だって思い出したら、お祝いしてくれるでしょ？

しおりのところに自分から祝ってくれって言いに行ってるようなもの。

私、すごく図々しい女じゃん！


.



A「バカ…太輔くんのバカ…Aのバカ…太輔のバカ…Aの大バカ…」

ほんと、私って寂しい女…

自分の誕生日にケンカなんてしたくなかった。

祝ってもらえなくても、一緒に過ごせればよかったのに…


.



『〜♪』

・・・誰？


新しい携帯に初めて誰かから電話がかかった。



『〜♪』

・・・太輔くん…


太輔『もしもし？』

A『何？荷物は後で、太輔くんのいないときに取りに行くから！』


・・・もお―――っ！


この！


Aの大バカ者―――っ！



なんで、こんなことしか言えないのよ！


素直にさっきは、ごめんなさいって言えば…



太輔『Happybirthday to you〜♪』

・・・え…

太輔『A、お誕生日おめでとう！』

A『な…なんで』


急に太輔くんが歌い出した。


.


すごく上手で…

びっくりして…

甘い優しい声で…


.


涙が溢れ出してきた。


太輔『帰って来いよ』

A『だ…だって…ｳｯ…か…代わり…いる…て…ｳｯ…ﾋｯｸ…ﾋｯｸ…』

・・・私、まだ意地張ってるの？


太輔『いいから、帰って来い！』

・・・意地張ってるただの子供の私を、太輔くんはわかってくれてた。


太輔『待ってるから。いいな？』

やっと私は、素直に頷けた。


.

46.特別な日2→←44.携帯のｱﾄﾞﾚｽ…太輔

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す