◇Long vacation◇太輔くん◇part２

8.兄貴の就職 ページ21

太輔とかほさんの姿が見えなくなったけど、外に出る気分はすっかり失せた。


・・・戻ろう…


『〜♪』


兄貴からの電話だった。


A『もしもし』

兄貴『携帯買ったんだな！よしよし。』


・・・何が“よしよし”だよ！


A『何っ？』

兄貴『冷たいな〜』

A『ご用件は？』

兄貴『あのさ、オレ、ｸﾗﾌﾞの雇われオーナーなったから。』

A『は？』

兄貴『ｸﾗﾌﾞの雇われオーナー！お前、耳遠くなったんじゃねーか？』

A『耳が遠くなったんじゃなくて、響の言ってることが意味不明なのっ！！！』

・・・バカかっ！この兄貴は！


兄貴『だから、ｸﾗﾌﾞの！ｸﾗﾌﾞってお前知らないの？部活じゃねーぞ？』


A『ばかっ！わかってるよ！なんで、そっちの雇われオーナーなんてやってんのよ！

管理人はどうすんの？マンションの管理人！』


・・・そもそも、マンションの管理人の仕事は、兄貴が頼まれた仕事でしょ！？


兄貴『オレさ、やっぱさ、それ、向いてないと思うんだよね〜』

A『は？何それ？引き受けたのは、響でしょ？そんな勝手なことが許されると』

兄貴『Aは、その仕事、オレに向いてると思う？』

A『………』


・・・向いてない…


兄貴『な？向いてないと思ってんだろ？』

A『ま…あんな落ち着いちゃった仕事、響には向いてないと思うけど…。どうするの？』

兄貴『だから、引き続き、Aがやってよ！どうせ、就職活動してないんだろ？』


・・・うっ…図星…


A『う…ん…』

兄貴『よし決まり！』

A『あっ！でも、待って！』

兄貴『なに？』

A『頼まれたのは、響だったでしょ？だから、私、響の代わりにしばらくの間だけ、管理人の仕事をしますって、オーナーの孫に言っちゃった…』

兄貴『いいじゃん。やっぱりAがやることになりましたって言えば。』

A『だからさ、響が勝手に旅に出たなんて言えなかったから、響は入院してることにしたの！』

兄貴『なんで？』

A『だって、響の社会的地位を守ってあげようとしたんでしょ！

いい加減な人間だって思われたら、可哀想かなって思って…』

.

9.兄貴の就職2→←7.こんなところに？…太輔

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す