◇Long vacation◇太輔くん◇part２

5.どうしてここに？ ページ18

しおり「A、お願い！」

日曜日の早朝、しおりからの急なお願いは、朝からのモデル仕事の荷物持ち。

しおりは、起きてﾍﾞｯﾄﾞから立ち上がった時に、何かに足をとられて滑って、手首と足首を軽く捻挫したらしい。


しおり「ドタキャンなんて絶対出来ないの！ヒマでしょ？今日は仕事ないし、1人だし！」


・・・まぁ、そうですけど…わざわざ言わなくても、わかってるわよぉ


しおり「お願い〜！」

日頃、しおりにお世話ってる私。


A「ﾌﾌ…行くよ！行きます！行かせていただきます！」

しおり「ありがとー！！！」


.


大学時代に、1回だけ付いて行ったことがあったけど、

その時は、しおりはたくさんの女の子たちの中の１人だった。


・・・しおり、すごい…


今日の撮影は、しおり１人。


いろんな表情、いろんなﾎﾟｰｽﾞ。

ｶﾒﾗﾏﾝやｽﾀｯﾌの要求にすぐに応える。

何枚も服を着替えての撮影。

撮影が始まると、しおりは、痛みも見せずに仕事をこなしていた。


・・・“プロ”なんだな〜


.


ｽﾀｲﾘｽﾄや他のｽﾀｯﾌの邪魔にならないように、端の方にいたけど、

人の移動が激しくて、ちょっと人酔い…。

私は、ちょっと部屋を出た。


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・・・外に出たいんだけど…

ｴﾚﾍﾞｰﾀｰはどこだ？



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ｷｮﾛｷｮﾛしながら、とりあえず進んでいく。

・・・こっちかな？


曲がろうとした方向で『ﾋﾟﾝﾎﾟﾝ』ってｴﾚﾍﾞｰﾀｰの止まる音がした！


・・・おお！あそこだ！ｴﾚﾍﾞｰﾀｰ発見！


嬉々として、ｴﾚﾍﾞｰﾀｰに向かおうとして、足を止めた。


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.



・・・っ！




かほさんだ！


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・・・先日のこと、謝った方がいいかもしれないけど、ここでその勇気はないわよ…



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躊躇して、少し隠れるようにして見ていると…


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かほ「ﾌﾌﾌ…ね」

かほさんが、楽しそうに振り向きながら話す相手が、続いてｴﾚﾍﾞｰﾀｰから降りた。


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.



・・・え？

太輔…？



.




.



彼女が嬉しそうに太輔の手首を引っ張っていく。

太輔も笑ってる。


・・・かほさんの仕事場に来るような仲なの？

みんなの公認なの？


.



.



(ﾊｯ！)


慌てて角に身体を隠した。


今、ﾁﾗｯて太輔がこっちを見た？



.




.



バカみたい…

私が世話焼く必要なんてなかったんだ…


.



.



.



・・・ｲﾀｯ…


痛い…


胸が痛い…


呼吸が苦しい…


.



視界が滲んで見える…


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