◇Long vacation◇太輔くん◇part２

3.仲直り ページ16

・・・ひどい親友！しおりなんて親友じゃない！


家に帰りなさいって、しおりに家を追い出された。


・・・帰るのヤダな…


よく考えたら、やっぱり私が無神経だった。


・・・ちゃんと太輔に謝れるかな…


.



A「ﾊｱ〜…」


ドアの前で、大きな溜め息が出た。


・・・いきなり謝る？

何もなかったかのように、挨拶から？



“〜♪〜♪〜♪”


玄関のドアから、微かに太輔くんの声が聞こえた。


・・・歌ってる声？


ドアに耳を押し当てて聞いてみる。


・・・同じフレーズを何度も確認するように歌ってる…


練習してるの？


太輔くんの仕事って何だろ？


やたらと歌が上手いの…


.



住人「あの、管理人さん、荷物預かってもらってますよね？」


A「ひああっ！」

振り向くと、住人が怪訝そうに私を見る。


・・・そりゃそうよね…

ドアに耳押し当ててる管理人って変だもん…


A「あ、今、すぐにお渡ししますね」


『ｶﾞﾁｬｯ』


荷物を取りに管理人室に入ると同時に、太輔の歌声は止まってしまった。


・・・もう少し、聞きたかったな…

でも、家に入る口実ができてよかった…


.



住人に荷物を渡した。


.



太輔「おかえり」


・・・怒ってない…？


A「ただいま………。昨日は…本当にごめんなさい！無神経でした！」

太輔「うん。お前は、世話焼きすぎ！」

A「ほんと、ごめんなさい。太輔が怒るのも無理ないって思う…」

太輔「もういいよ。オレのために言ってくれたんだろ？

それがわかるから、もう謝らなくていい。」


・・・太輔…


A「かほさんは？怒ってた？」

太輔「いや。お前の勘違い発言だって言ったら、納得してた。酔っ払いの言うことだからって。」

A「ほんと？よかったー！心の広い人だね〜」

太輔「ｸｽｸｽ…お前ってホント酒癖悪いよな？」

A「感情のまま突っ走っちゃうらしいんだよね…」

太輔「ﾌﾌ…以後、気をつけるように！」

A「はい！気をつけます！」


・・・なんだ…こんなに簡単に仲直りできちゃうんだ…

素直に謝ってよかった…


太輔「ビール飲む？」

A「え？いいの？なんか反省が宙に浮いちゃわない？」

太輔「暴言吐かなきゃいいんだよ！」


・・・ｱﾊｯ…そういうもの？


ま、なんでもいいや！


「カンパーイ！」


A「ｺﾞｸｺﾞｸ…くー！」

太輔「美味い！」


仲直りの後だから、すっきり美味い！

.

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