88.デコピン食うの巻 ページ13
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腕を引かれて、楽屋の廊下へ行くとやっと離してくれた。
『ハァ、助かったぁ』私の掴む腕を離した瞬間、そう口にする。
結構痛かったんですが。…そんなことよりも。
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あ 「二宮さんって嘘ツキなんですねっ！」
和 「…だから二人きりの時は和でいいって」
あ 「一応今は仕事中ですから」
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ふっ、と彼は下を俯いて微笑んだ。
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あのキス、以来だ。こうやって近くで話すの。
なんか変に意識しちゃうというか…でも
彼にとっちゃあのキスなんてとんだ挨拶に過ぎないんだろう。
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和 「俺、ぐいぐい来る子苦手なのよ」
あ 「だからって、せっかく仲良くしようとしてるのにあの態度はひどいと思いますケド？」
和 「…ふ〜ん」
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自分だけが意識してる、そう思うとなんかムカついて気付いたらそんなことを言ってた。
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目を離して、そう口にすると予想外にも、どんどん無言の彼に詰め寄られてつい後ずさる。
気付いたら背中が壁に付いて行き場がないのが分かった。
…もう逃げられない。
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観念して、ゆっくり目を瞑ると、おでこになんか痛い感覚。
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あ 「ッタ…！」
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和 「ばーか。期待してんじゃねーよ」
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また、ふふと微笑むと、『一旦楽屋戻るわ』そう言って、廊下を歩いて行った。
そんなに私の反応見るのが楽しい？
この前のキス以来躍らされてるのはやっぱり私だけなんだ。
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作者名：大宮華花
| 作者ホームページ：http://s.ameblo.jp/nino1206smile/
作成日時：2020年4月11日 18時
