Voyage.3 (ページ3)

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それからは誰とも会うことなく、何もない高校生活が終わり、大学へと入学した。

いろんな事があって、幼なじみの５人が集まってシェアハウスをすることになり、結婚ではないけれど、自分にとって第二の人生がスタートした。

初めの頃は久しぶりの５人で食卓を囲んで食事を楽しんで、夜には遅くまでババ抜きをして、朝起きてみんなの寝癖に爆笑する。

そんな毎日が幸せだった。

...でも、、、幸せすぎたのかもしれない。

幸せすぎて、自分の中の何かが壊れていってしまった。

こんな感情は久しぶりで、封じ込めて忘れかけていた頃の記憶が今となって戻ってきて、自分がこんなに幸せでいいのだろうか、と幸せに怯えるようになってしまった。

楽しく笑うみんなを見ていても、自分はどこか別の世界にいるみたいで、一緒になって笑うことを、見えない誰かに止められているかのようだった。

智 side

最近にのの様子がおかしい。

みんなでいる時にどこか遠い目をしている時がある。

気をつけて様子を見ておかないと。

そう思っていたある時。

ガシャンッ！！

ニノがいる部屋から大きな音が聞こえて、たまたまリビングにいた４人が顔を見合わせる。

智「おれ見てくるよ」

そう言って２階へ行ってにのの部屋のドアを開けた。

そこには、割れたガラスの写真たてを手にして、泣きながら跪いているにのがいて、、。

智「にのっ！」

俺ははにのの元へと駆け寄り、その手から割れている写真たてをそっと抜き取る。

それはにのがとても大切にしていた家族写真だった。

智「にの？血出ちゃってるから消毒しようね」

そう言って立たせようとしてもそこから動こうとはせず、血が出ている手を反対の手でギュッと握りしめた。

和「、、、自分でやったのっ...おれがっ...おれが自分でわったの、、、」

そう言って一層強く手を握りしめる。

どうしてこんなことになったのかを聞くよりも、まずは肩を震わせて泣いているニノを落ち着かせてあげたくて。

智「辛かったね、、、」

小さくなって泣いているニノを横からギュッと抱きしめてあげた。

握られている手はだんだんと力が抜けて、そのままニノは腕の中で気を失うかのように眠りについた。

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