緑 ページ3
【付き合って下さい】
-
「たつ〜！！また私のプリン食べたでしょ！！！」
『ん？』
私のプリンを頬張りながら幸せそうに微笑む私の親友のたつは熊みたい。
「食べたかったのに〜！！」
私はそう言い、たつの髪をグシャグシャにする。
『やめー！』
-
二人って付き合ってるの？
はよく聞かれる質問。
でも私達はたつが言うような"ただの親友"。
私の気持ちなんか知らないくせに。
-
家が近い私達が一緒に帰るのも毎日の事。
でも今日は違う。
たつは私を待たずに他の女の子と相合傘して学校から出て行くのを見てしまった。
前の雨の日も似たような事があった。
だから雨の日が嫌い。
ため息をつきながらゆっくりと雨の中を歩き出す。
傘を持ってない私はすぐびしょ濡れになり、髪から滴る水を手で拭きながら木の下で雨宿り。
雨は私の涙のように止まろうとしない。
その時。
『お嬢さん、そんなとこにいたら風邪引きまっせ』
「最低」
私と同じくびしょ濡れのたつは私の隣にしゃがみ込み、私の涙を拭う。
「あの子とはどうなったの？」
『え？あぁ、名前も知らんし、ただ傘一緒に入りたいって言ったし入れて上げただけやでぇ』
「はぁ」
ため息をつくと冗談っぽくたつは私の肩を叩くと
『心配せんでもあんな子よりAのほうが良いし』
と言う。
単純バカな私はその言葉で火照っていく顔を隠した。
『..え？マジで？』
「うるさい」
『A顔上げてーや』
「いや」
『上げへんかったらチューしてあげへんで』
「はぁ？！」
『顔上げた〜！』
「信じられない」
ヘラヘラ笑っていたたつはいきなり真剣な顔になり、私の頬を両手で挟んだ。
『俺、ずっとAの事好きやってんで。ずっと親友って事で通してきたけどもう無理。』
からかわれていると思い、私は顔を逸らすといきなり頬に感じる唇に驚き、たつを見る。
『俺と付き合って下さい』
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作者名：せり丸 | 作成日時：2017年5月30日 8時
