夢桜４* (ページ17)

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翔さんの肩の傷の方が深かったので

和さんには止血だけして先に翔さんの手当に

取り掛かる。

「いてっ・・・痛いよお嬢さん」

「痛いのは効いてる証拠です」

摘んできたヨモギの葉よくもみこんで

絞った汁を患部に付ける。

「今回は調査だけだったんじゃないですか？」

「当日の仕事を減らすために斬ってきた」

和さんは言う。

「効率よく仕事を行うためにはそうするしかない」

翔さんは痛みに顔をゆがめて言う。

「二人ともいつも無茶をしすぎです」

あたしはため息をもらす。

「それが仕事だから仕方ないと思いますが

大勢に二人で斬りこむのは危険すぎます」

あたしがそう言うと和さんと翔さんは

顔を見合わせて笑う。

「心配してもらえて嬉しいよ。A」

「あぁ。いつもありがとう。お嬢さん」

素直にそう言われると照れる。

「無理をしても必ずここに帰ってきてください」

翔さんの手当が終わる。

和さんの手当に取りかかる。

和さんの鎖骨に薄いピンクの痕があり頬が赤くなる。

「お嬢さん和の時だけ顔赤い」

翔さんはそう言う。

「いや、あの・・・」

「仕方ないよ。俺の事が好きだから」

ふっと笑って言う和さん。

ヨモギの汁を患部に塗る。

「っ・・・滲みるね」

痛みに顔をゆがめた和さん。

「お嬢さん。もっと患部に塗りこんでやって。

さっきの自信に満ちた顔腹が立った」

笑いながら言う翔さん。

「勘弁してよ。これだけでも十分痛いんだから」

「俺がお嬢さんと一緒にいたらお嬢さんは俺に惚れたから」

ふっと笑いながら言う翔さん。

「え。そうなの？A」

「いえ。翔さんの側にいてもあたしは和さんの事

好きになってました」

和さんだからこそ好きになった。

たとえ翔さんの側にいたとしてもあたしは和さんを好きになっていただろう。

「手当終わりました」

あたしはそう言ってそそくさと部屋から出て行った。

このままでは深く追求される・・・。

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