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「なあ、少しは頼ってくれ……」
弱々しい声だった。
Aは、背後に迫っていた敵を消し、結界に歩み寄る。
自分をも通さぬように張った結界に触れると、それに重ねるように三日月も手を添えた。
「三日月……私は、もうみんなに傷ついて欲しくないんだ。
わかってくれ」
「わかりたくもない」
きっぱりと言い切った。
「何故だ」
「同じだからだ」
「同じ？」
「俺たちもAと、同じ気持ちなのだ」
三日月は、Aに訴え続ける。
Aは、驚いた。
同じとはつまり、Aに傷ついて欲しくないということだ。
そんなことを言われたのは、生まれてこのかた初めてだ。
嬉しかった。
自分を守りたいと思っていてくれることが。
「私は怪我をしてもすぐに治る。
身代わり人形は、いくらでもいるからだ」
離れにおいてきた何体もの身代わり人形を思い出す。
ある程度傷ついてから移せば、数は持つだろう。
「それでも痛みはあるだろう」
Aは驚きで目を見開いた。
同時にポタリと三日月の目から涙が落ちた。
感情が高ぶり、制御できなくなって零れた涙だった。
「俺たちはモノだ。
Aもモノだった。
だがAは、俺たちをモノとして見ていない。
そして俺たちもAをモノとして見ていない」
「だが私は、人形だ」
慣れ親しんだ言葉のはずが、とても冷たく感じられた。
「Aは人間だ。
人間でなければ、俺たちに傷ついて欲しくないと思うはずがない」
止めどなく、涙がこぼれ落ちていく。
「切りつけられる痛み、流れる血の感触、数多の敵を前にし怯える恐怖心。
それらを知っているから、そしてそれを過去に嫌という程感じていたと想像したから、Aはそう思うのだろう」
必死な訴えだった。
そしてそれは、それこそが、Aが抱いていた感情だった。
自分の過去を見つめたとき、とても苦しく辛く感じた。
それは、刀剣男士たちも同じだろうと考えた。
だから、二度と自分があのような思いをしたくないように、刀剣男士たちも傷ついて欲しくないと思っていた。
「俺たちも、それらの辛さを知っている。
なあ、俺たちにもAの辛さを分けてくれ」
何かを耐えるように拳を握り、顔を伏せる。
ポタポタと一気に涙が落ち、床の水たまりを大きくした。
「俺たちを頼ってくれ……」
それは絞り出すような、願いだった。
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あき(プロフ) - 華音さん» こんにちは。ありがとうございます！とっても嬉しいです。修正したいのですが、時間があまりとれないので、どこがどう間違っているのかも一緒にお伝えしていただきたいです(^^;)読みづらかったとは思いますが、ここまで読んでいただき、ありがとうございました！ (2021年9月16日 12時) (
レス) id: aa37dea49f (このIDを非表示/違反報告)
華音(プロフ) - こんばんわ☆初めまして！面白くて感情移入しながら一気読みしてしまいました（＾ν＾）ただ、所々ですが誤字脱字や一文字抜けている部分がございましたので見直してみて下さいね。 (2021年9月13日 22時) (レス) id: 85eea2d6ee (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - 一気読みしました！最後の最後に感情を取り戻した呪術師審神者は幸せに暮らせてるといいですね！ (2020年2月5日 17時) (レス) id: b5fce10f2a (このIDを非表示/違反報告)
ブラッディ・ドリーマー(プロフ) - 架音さん» いえいえ。今まで読んでいただき、ありがとうございました。 (2019年9月15日 10時) (レス) id: 71334657d1 (このIDを非表示/違反報告)
架音(プロフ) - 遅くなってしまってすみません。最終話まで読ませていただきました。とても感動しました！素敵な作品をありがとうございました！更新お疲れ様でした。 (2019年9月14日 22時) (レス) id: 28682758c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あき | 作者ホームページ：
作成日時：2019年4月23日 22時
