ep.10 人間の世界へ ページ10
リヴァイは海で拾った女の子を抱えて、兵士のいる場所へと戻ってきた。
その間彼女は恥ずかしそうに、リヴァイの腕の中で縮こまったまま顔を上げなかった。
「あ！兵長が戻って……って、えーーーーッ！！！」
「あんだよアルミン、でっけぇ声だし…えーーーッ！！！ハンジさん！リヴァイ兵長が女の子連れて帰ってきました！！！」
「うそーーん！どこどこ！！誰だれ〜〜！！！！」
テントの前に群がるエレン一行は、前代未聞の出来事に浮き足立っていた。
「お前ら……黙らねぇと削ぎ落とすぞ」
目の前に現れたリヴァイの腕には、リヴァイが着ていたはずのマントが着せられている。
「ど、ど、ど、どうしたんだいリヴァイ！！そのえらい美人の女の子〜〜！！」
「おいクソメガネ。その涎と血走った目をやめろ。怯えてるじゃねぇか」
ハンジはハッとして女の子を見ると目を背けブルブル震えている。
「ご、ごめんよー怖がらせるつもりは無かったんだ…え、この子服は？…まさか……」
「違う、勘違いするな。元からこの姿で海岸に打ち上げられていた」
「もしかしてあの嵐で？君、どこからきたの？」
ハンジの問いに答えようと口を動かすが、やはり声は出ない。
「話せないらしい」
「何があったんだ…とりあえず、体を洗って服を用意しようか…こっちへおいで」
ハンジの呼びかけに一瞬戸惑う素ぶりを見せたが、リヴァイの腕から降りた女の子はハンジの方へ手を伸ばす。
しかし、足がもつれてしまいそのままハンジの腕の中へダイブしてしまった。
ボフンっ
「ぅおっと！！大丈夫かい？」
「あぁ、あとそいつは歩けないみたいだ」
「そりゃ大変だ……そして、柔らかい」
『〜〜〜ッ！！』
ハンジにきつく抱きしめられ、頬擦りをされた女の子は恥ずかしさから顔を赤面させる。
「変態クソメガネ。いつまでこいつを野蛮なこいつらの目に晒しておくつもりだ」
マント一枚の女を見て、年頃の男共はどうすればいいか反応に困り果ててきた。
ミカサに限ってはエレンの周り塞ぎ見せないようにしていた。
「おっと、これは失礼…じゃあ私に捕まっててね！ミカサ、サシャ！ちょっと手伝ってくれないか」
ハンジはヒョイっと女の子を抱き上げると、ミカサとサシャを連れて仮の宿舎へと入って行った。
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作者名：yoku | 作成日時：2023年6月5日 10時
