ep.9 二人の出会い ページ9
リヴァイside
「(俺はどうやってあの海を切り抜けれたんだ)」
サシャを助けた代わりに海へ落ちた所までは覚えている。
そして、誰かが俺を拾い上げた気がした。
あとは…
「誰かが歌っていた…」
初めて聴くメロディだった。
自分が倒れていた海岸まで辿り着くと、そこには予想だにしなかった物が横たわっていた。
「っ！？人か！！？」
見たこともない女が倒れていた。
急いで駆け寄り安否を確かめようとするが、何も身につけていない事に気づき目のやり場に困る。
「……クソッ、なんでこんなとこに人が……」
運良く兵団のマントを着ていたのでそれを着せてみた。
美しく波打つ金色の長い髪に、透き通った白い肌、細い体……
ドクンッ
心臓が一度大きく脈打った。
パチッ
「あ…」
彼女を見つめていると、気がついたのか目を開けて飛び起き、立ち上がった。
が、すぐにバランスを崩してしまい倒れ掛かる。
「おっと……おい、大丈夫か？」
とっさに支えてやれば、彼女は恥ずかしそうに顔を赤らめた。
『……』
そして、彼女は何かを伝えようと口を動かすが、何も聞こえてこない。
「お前…声が出ないのか？」
そう問えば、悲しそうに頷いた。
服も着ずに、声も出ない…
こいつは一体、何者なんだ？
「歩けるか？」
そう聞けば首を横に振る彼女は、長らく歩くこともさせてもらえなかったのだろうか、足の筋肉は衰え、力が入っていなかった。
敵かも知れないと思う一方、彼女を一人放って置くということもできない。
____また面倒事が増えたじゃねぇか…
そう思いながらも、腕の中にいるか弱い彼女を振り解くことなどできなかった。
何より…
_____どこかで見た気が…そんな、まさかな。
「しかたねぇ…ジッとしてろよ」
『ーーーっ！』
海岸に裸で一人置いておくわけにもいかないので、一先ず彼女を横抱きし、皆んなのいるテントまで連れ帰る事にした。
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作者名：yoku | 作成日時：2023年6月5日 10時
