ep.5 夜明け ページ5
パラディ島海岸の岩陰に、そっとリヴァイを横たわらせたA。
『息、してる…よね』
まだあたりは暗い。嵐は過ぎ去ったのか、雷鳴は遠くに聞こえた。
目にかかる彼の濡れた髪を、そっと撫で上げる。
『なんて綺麗な顔をしているの……』
規則正しく呼吸をする彼を、近くで眺める。
いつまでも眺めていたい。
『la lala〜、la la la〜♪』
今は亡きお母様から教えてもらった子守り歌を口遊む。
どうか、彼がゆっくり休めますようにと、願いを込めて、歌った。
そのうち段々と空が明るくなり始め、鳥達も待っていたかのように羽を羽ばたかせた。
「リヴァイーー！！」
「おーーーいっ！！」
「居ないのかーー！」
遠くからいくつもの声がする。
『っ！もう、行かなきゃ……』
もっと彼と一緒に居たい気持ちを抑え、Aは海の中へ潜った。
パチャンッ！
「っ！！こっちで音がしたぞ！！」
「本当かアルミン！すぐに行こう！！」
アルミンはもしかしたら海岸に打ち上げられている可能性がある、と考え一晩中皆でリヴァイを探していたのだ。
「嘘……本当に、居た……」
「アルミン！君はやはり天才だよ！！」
「いや、僕も本当にいるとは思ってなくて、今びっくりしてます」
アルミンは、あの嵐の中探しに行くのは危険であり、朝を待って捜索に出向くつもりだった。
その間少しでも何かできる事がないか考えての海岸の捜索だったのだが、本当にリヴァイがいた事が信じられなかった。
横たわるリヴァイに駆け寄るハンジやサシャ達。
「生きてるぞ！！おい、起きろ！リヴァイ！！」
「ん……あぁ、ハンジ、か……」
「よかったです兵長ーーー！！」
奇跡の生還に、皆が喜びを露わにする。
そんな中、きょろきょろと辺りを見渡すリヴァイ。
「俺、一人か……？」
「何が？」
「いや、俺を助けたあいつは……」
皆が顔を見合わせる。そして、思わず吹き出した。
「プップハハハッ！兵長がおかしくなっちまった！」
「ハハハハッ！リヴァイ、何か夢を見てたんじゃないか？」
バカにする仲間達に心底機嫌を損ねたリヴァイは、むくりと起き上がりそそくさと港まで帰って行った。
「もう！みんなが笑うから怒っちゃったじゃないか！」
「だって…あの、プッ、リヴァイ兵長が…ﾌﾟﾌﾟッ、寝ぼけるなんて……ｸｸｯ」
未だツボにはいるコニーは、後でリヴァイから鬼の訓練メニューが組まれたそうでした。
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作者名：yoku | 作成日時：2023年6月5日 10時
