ep.15 お世話係 ページ15
Aが目を開けると、待っていたかの様にハンジが側にいた。
「起きたね。ちゃんと眠れた？朝ごはん食べれそう？」
ハンジの手により起こされたAは支えられながら外にでた。
そして、表で待ち伏せしている人物を見て二人は固まる。
「…起きたか」
「リヴァイ！何してるの？！」
「お前が言ったんだろ、面倒を見ろって」
リヴァイの予想外の行動に目を丸くするハンジとAは顔を見合わす。
「……なんだよ」
「いや〜人は変わるもんだなぁと…」
ニヤける顔を抑えながらハンジはあからさまに眉間に皺を寄せるリヴァイの顔を見た。
「フンッ…ほら行くぞ。手を出せ」
『っ！！』
ハンジに抱えられていたAの手をぐっと引き寄せ、リヴァイは抱き止めた。倒れないように腰に手を当て支えている。
互いの距離は限りなく近くなり息がかかる所まで迫る。
____目の前には夢にまでみた彼の顔…
突然の出来事にAは口をパクパクさせて顔をほてらせた。
「…まずは歩き方からだ。いいな」
『(コクンッ)』
こうして前方からリヴァイがAの手を引く形で、一歩ずつ歩き始めた。
食堂に着くまでには動きはマスターできており、後は筋力の問題だなとリヴァイはAに説明する。
誰もいない食堂の椅子にそっと座らせれば、Aは嬉しそうににっこり微笑みながら頭を下げた。
それに応える様にリヴァイの表情も柔らかくなる。
「おいおいおいおいッ！これどんな展開っすかハンジさん！」
「シッ！！今いい所なんだから静かに！！」
「やばいやばい！あの兵長が笑ってる!!!!!」
食堂に入りそびれた面々は物陰から二人を見守る。
だがそんな時間も長くは続かず…
「おい、お前ら…それで隠れてるつもりか？」
「ヒィッ！！すみませんでしたッ！！！」
すぐに見つかりこっ酷くしごかれる事になりました。
「ハンジ。お前が居ながら覗きのはいい教育をしているな」
「…すみませんでした」
「そんなんだからお前らは…」
「まぁまぁリヴァイさん、皆さんもお腹が空いている頃ですしその辺で」
「ニコロ〜！！私お腹が空いて死にそうですーー！！」
長くなる説教を止めてくれたのは料理人のニコロ。
焼き上がったばかりのパンとスープをテーブルに運びながら皆に助け舟を出した彼を、サシャは神だと崇めている。
楽しい…
こんなに楽しいのは、初めてだ…
「あ、ほらサシャ、Aに笑われているよ」
口元を抑えながらAは笑っていた。
続く (更新停止中)
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作者名：yoku | 作成日時：2023年6月5日 10時
