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#03 ページ41

――救護テント


「ミンさん、エコーください」
「はい!」
エコーを胸に当てた。血が溜まっている。
「両側の血胸です。ドレナージします。消毒液」
褐色の消毒液をかけてメスを右手に持つ。


皮膚を切開しようとした時、突然アラームが鳴った。
「心停止!」
「アドレナリン1筒準備!」
指示をしながら左のドレナージを進める。左が終わったら右。しかし、音羽はまだ左の肋間を開いたところだ。

アラームは鳴り続ける。

時間が足りない。






「アドレナリン入れます」






その声に、はっと顔を上げる。


「A先生……」
「右は私がやります。ミンさん、メスください」
「はい!」
小日向は目にも留まらぬ速さで処置を進めていく。


音羽が処置を終えると、後から始めた小日向もほぼ同時に終わった。





速い、と思ったことは口には出さない。





すぐに胸骨圧迫を始める。


アラーム音が定期的な音に変わった。
「……心拍、戻りマシタ!バイタルも安定してマス!」


小日向と音羽はほっと息をつく。

「……助かりました」
「いえ、救えてよかったです」

琥珀色の目が細くなった。



ふと先ほどの、不釣り合いな2人が話している光景が蘇る。

「月島課長と知り合いなんですか」

「……いえ、別に」

その目が暗くなったのを見逃さない。

「何か隠し……」



『機内に2人、すぐに処置が必要な赤タグが2名います!どちらも動かせません!音羽先生かA先生来れますか?』

無線から喜多見の緊迫した声がその会話を遮った。
「私行きます」




音羽が逃げるように去っていく小日向の背を見つめる。








A先生、あなたもかつての喜多見チーフのように、なにか隠しているんじゃないですか――……?




***

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わさび醤油(プロフ) - 滴さん» 貴重なご意見ありがとうございます。読みにくくて申し訳ないです( ; ; ) 1ページに入れたい内容が多くて泣く泣く行間を詰めたり文章を削ったりしていて限界なんです(泣)初小説なのでご愛嬌ということで温かい目で見ていただければと思います... (2023年5月3日 16時) (レス) @page8 id: 3684b727db (このIDを非表示/違反報告)
- こんばんは(*^^*) はじめまして。 いきなりすみません。。。 物語読んでいて思ったのですが。。。 行間隔をあけたほうが良いのではないんでしょうか? 行間隔が詰まっていると読みにくいので。。。 (2023年4月30日 23時) (レス) @page5 id: 361e8a8309 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - すずもりさん» 返信遅くなってすみません💦コメントありがとうございます!月島さんかっこいいですよね。もう少しで完結ですが最後まで頑張りますのでよろしくお願いします! (2021年10月31日 9時) (レス) id: bd4ab21637 (このIDを非表示/違反報告)
すずもり(プロフ) - 月島さん好きなのでありがとうございます♪(笑)更新楽しみにしてます❣️ (2021年10月17日 20時) (レス) @page48 id: 850617dc48 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わさび醤油 | 作成日時:2021年10月5日 19時

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