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#04 ページ34

ある工場内で、エンジンカッター使用中に換気が十分に行われていなかったために発生した一酸化炭素中毒の事案だった。

一酸化炭素中毒は気付かないうちに進行することが多い。今回の場合も、気づいた時には通路でつながった別の建物にいた人にまで症状が出ていた。



すでに窓は開けられ換気されているが、建物内には従業員が意識を失ったまま倒れていた。

「MERの小日向と言います。わかりますか?ミンさん、モニター」
目に入る範囲に倒れている人は、全員かなり呼吸状態が悪い。
「全員酸素100%で、COHbの測定もお願いします」
重度の中毒を起こしている人には挿管も必要になる。
「こちらの男性、血中COHb値68%です!」
夏梅が小日向を呼ぶ。
「挿管しましょう。そのあとすぐに高気圧酸素療法対応している病院に搬送してください」



喜多見が拡声機を片手に持って指示をする千住に駆け寄る。
「千住隊長、これで全員ですか?」
「いや、問題のエンジンカッターが使われたのはこの奥の部屋だ。そこに繋がっている従業員の休憩所の建物にも傷病者が発見されている」
千住が工場から繋がっている2階建ての建物を指した。
「わかりました。音羽先生、夏梅さん、奥の建物に行きましょう」

『隊長!エンジンカッターから出た火花で近くにあった資材に引火してます!』
千住の無線から緊迫した声が聞こえた。
「すぐに消火しろ!」千住が無線機に怒鳴る。「喜多見さん、あんたはここで傷病者が運ばれてくるまで待機していろ!休憩所の建物にまで燃え移る可能性がある!」





「待ってるだけじゃ救えない!」





喜多見が行きかけた足を止めて千住の方へ振り返る。


「この部屋でも血中COHb値がかなり悪い人がいるんです。奥の休憩所でもそうなっている可能性が高い。COHb値は80%を超えると即死します。火災でさらに一酸化炭素濃度が上がったら、助けられません!」



千住も、命を助けたいという気持ちは同じだ。まだ休憩所にまで燃え移ったわけではない。



「……わかった。ただし、酸素マスクは装着していけ」



喜多見は無言でうなずくと、酸素ボンベを背負い、音羽と夏梅とともに休憩所の建物へ走っていった。




***

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わさび醤油(プロフ) - 滴さん» 貴重なご意見ありがとうございます。読みにくくて申し訳ないです( ; ; ) 1ページに入れたい内容が多くて泣く泣く行間を詰めたり文章を削ったりしていて限界なんです(泣)初小説なのでご愛嬌ということで温かい目で見ていただければと思います... (5月3日 16時) (レス) @page8 id: 3684b727db (このIDを非表示/違反報告)
- こんばんは(*^^*) はじめまして。 いきなりすみません。。。 物語読んでいて思ったのですが。。。 行間隔をあけたほうが良いのではないんでしょうか? 行間隔が詰まっていると読みにくいので。。。 (4月30日 23時) (レス) @page5 id: 361e8a8309 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - すずもりさん» 返信遅くなってすみません💦コメントありがとうございます!月島さんかっこいいですよね。もう少しで完結ですが最後まで頑張りますのでよろしくお願いします! (2021年10月31日 9時) (レス) id: bd4ab21637 (このIDを非表示/違反報告)
すずもり(プロフ) - 月島さん好きなのでありがとうございます♪(笑)更新楽しみにしてます❣️ (2021年10月17日 20時) (レス) @page48 id: 850617dc48 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わさび醤油 | 作成日時:2021年10月5日 19時

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