#03 ページ26
「えぇ!音羽先生ってお兄さんだったんですか!」
「意外デス……」
直接聞きづらい気がして、比奈とミンは再び小声で話す。
「音羽先生ってどんな感じで妹さんに接するんでしょうね……」
「想像もつきまセン……」
「音羽先生はああ見えて優しい方ですから、きっと妹さんにとっても優しい良いお兄さんなんじゃないですか」
今まで筋トレをしていた喜多見が手を止めて音羽の方を見た。
「ああ見えては余計です」音羽がぴしゃりと言い放つ。「第一、妹とは会ったことがないので」
全員が珍しく話の輪に入ってきた音羽を興味津々といった顔で見る。
音羽は周りにはっきりと聞こえるような大きなため息をひとつ吐いた。
「妹には先天性の心疾患があったので、生まれてすぐ裕福な親戚に預けられたんです。うちは貧しかったですし、母も病気がちでしたから。そのあとすぐ母が亡くなったので妹はそのまま引き取られる形になりました。ですので、私は会ったことがありません」
音羽が普段ほとんど話さないプライベートなことを淡々と話したということに驚きつつ、一方でその話が想像より暗いもので、聞いていた全員がどんな反応をしていいのかわからなかった。
「勝手に人の話をされると仕事が手につきませんので」
これで満足ですか、と音羽はパソコンに手をのばす。
「会おうと思ったことは……ないんですか?」
今までずっと黙っていた小日向が音羽におそるおそる尋ねた。
音羽は少し考えてから「……わかりません」とだけ答える。
小日向の目がかすかに揺れた気がした。
なんだか暗い空気になってしまったな、と比奈が明るい話題を探していると、タイミングを見計らったように待機室に緊急アラームが鳴った。
『都庁危機管理室より伝達
新丸ノ内線護国寺駅と茗荷谷駅の間で列車の脱線事故発生。
1両目が横転し、その他の車両でも負傷者が多数出ているもよう。大規模医療事案と認定。
TOKYO MERの出動を要請する』
「MER了解、出動します」
***
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わさび醤油(プロフ) - 滴さん» 貴重なご意見ありがとうございます。読みにくくて申し訳ないです( ; ; ) 1ページに入れたい内容が多くて泣く泣く行間を詰めたり文章を削ったりしていて限界なんです(泣)初小説なのでご愛嬌ということで温かい目で見ていただければと思います... (2023年5月3日 16時) (レス) @page8 id: 3684b727db (このIDを非表示/違反報告)
滴 - こんばんは(*^^*) はじめまして。 いきなりすみません。。。 物語読んでいて思ったのですが。。。 行間隔をあけたほうが良いのではないんでしょうか? 行間隔が詰まっていると読みにくいので。。。 (2023年4月30日 23時) (レス) @page5 id: 361e8a8309 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - すずもりさん» 返信遅くなってすみません💦コメントありがとうございます!月島さんかっこいいですよね。もう少しで完結ですが最後まで頑張りますのでよろしくお願いします! (2021年10月31日 9時) (レス) id: bd4ab21637 (このIDを非表示/違反報告)
すずもり(プロフ) - 月島さん好きなのでありがとうございます♪(笑)更新楽しみにしてます❣️ (2021年10月17日 20時) (レス) @page48 id: 850617dc48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わさび醤油 | 作成日時:2021年10月5日 19時