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no title ページ40

 季節は巡って中3になると、志望校についての話をよくされたけれど、私は頑なに口を開かなかった。
 もしストーカーが同じクラスで、私の志望校を聞いたたらと思うとゾッとしたから。

 そして念には念をと、もしバレてても簡単に来れないようにと、猛勉強して都内で一番頭の良い高校に合格した。


 高校生活は、比較的穏やかだった。


 けれど神様は私のことを嫌っているのか、高校に入学して早々、両親が事故で死んだ。

 買い物の帰りにバイクが突っ込んできて、そのまま轢き逃げだったらしい。

 親戚とは縁を切っていたらしいので、頼れるところも無く、天涯孤独の身となった。


 段々落ち着いて高2になった頃に、同じように家族を失っているという女子生徒が声をかけてくれて、何度か話すことがあったけど、孤独の心が晴れるわけではなかった。
 


 そして大学に入ると、ストーキングは再発した。



 大学2年の秋、バイト終わりに中学の同級生と再会した。
 ……と言っても、正直私は記憶になかったけれど。

 春千夜という名前を聞いて、ぼんやりと思い出した。
 珍しい名前だったから、何となく覚えてたっけ。

 それからお互い今何しているかを話した後、そのまま帰宅した。
 
 彼と一緒だったからか、今日はストーカーはいないみたいだった。


 家に帰った後、中学の卒業アルバムを見てようやくはっきり思い出した。
 彼は中学時代とは雰囲気が全く変わっていたから、ピンとこないはずだ。




 大学で彼氏ができて、就職して、婚約して、幸せの絶頂だったというのに。

 やはり神様は私のことが嫌いに違いない。


 仕事場に私宛ての手紙が何通も来て、ストーカーに仕事先がバレてしまったと戦慄した。

 このままでは会社に迷惑をかけるし、企業のイメージダウンにも繋がりかねないので、私は仕事を辞めることにした。
 幸いにももうすぐ結婚する予定だったし、辞めても大丈夫だと思ったから。


 帰り道、仕事を辞めたと彼氏に連絡しようとしたけど、一向に繋がらない。
 残業かなと思案して掛け直そうと通話終了を押した時だった。


 誰かが後ろから音もなく近づいてきて、頭を思い切り鈍器で殴られた。
 倒れ伏して薄れゆく意識の中、犯人と思しき人物に腕を掴まれる感覚がした。

 連れ去られるんだと、何となく思った。

 けれどすぐに誰かの声がして、犯人は立ち去っていったけど、私の意識は薄れてゆく。


 ああ、もう。私の人生、何でこうなんだろう———

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ぱーぷる姫(プロフ) - こういうの普段は読まないですけど、タイトルに惹かれました。読んで正解でした。鳥肌です。ありがとうございました (9月30日 18時) (レス) @page43 id: 4d7ac923b9 (このIDを非表示/違反報告)
いちご丸 - 闇深いけど好きです笑 (9月2日 0時) (レス) @page44 id: 7e45dba670 (このIDを非表示/違反報告)
- やばい、ちょー好き、ストーカー系好きなんですよね笑 (6月4日 9時) (レス) @page45 id: 465dec3a48 (このIDを非表示/違反報告)
華夜(プロフ) - 衝撃展開...... (2023年3月28日 11時) (レス) @page34 id: e1dc7047a1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:梅累 | 作成日時:2023年1月9日 11時

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