変わらない思いを抱く[wrwrd] (ページ14)

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汗が十四滴ページ14

喋らなくなった狐のお面の奴を見下ろして、俺はため息を吐いた。仕方ない。床をだん、と踏みしめて、忌々しげに下を睨む。
「おら、さっさと案内するんだよ」
そう言えば、暗闇だった、暗闇でしかなかった空間に道が出来て、道しるべの蝋燭まで立っている。
そうだ、これが当然なんだ。

道中でふと思う。
今思えば、グルッペンは俺を利用しようとしていたのかもしれないことに気付いた。え、もしかして良いように扱わられてる？
思わず立ち止まって真剣に考えてしまう。
待てよ。記憶の中のグルッペンは、あんな奴らの目はしていなかった。いつだって俺の隣に居てくれた。今回の事だって、来るなとも言ってくれた。
それに。

「お待ちください！」
後ろから声を掛けられて、思考が止まった。お腹を容赦なく蹴ったのに、元気な奴である。口から血は出ているが。ざまあないな。

「あんなものを助けてどうすると言うのですか。貴方様を利用しようと思っているかもしれない奴を、碌でもないやつを、なぜ！？」
もしかしたら目の前のやつと俺は似ているのかもしれない。寒気が立つ仮定を立てて、とりあえず答えてやろうと笑ってやる。
一回しか言わねえからな。よう聞いとけよ。

「しゃあないやろ。一回助けなくちゃと思ったら、助けてやらないと。
おじいちゃんに怒られてまうやろ」

友達だからじゃない。俺を助けてくれたからじゃない。俺のせいで生贄になったからじゃない。
ただ、思ってしまったものはどうしようもなく、
変わらないのだ。
なら、変えてはいけない。
理解できないだろ？
俺だってわかんねぇよ。
でも、グルッペンは助けなくちゃいけないんだ。