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稽古後も珍しく氷柱さんは私と行動を共にしていた。
大抵は稽古が終わるといつの間にか居なくなっているのだがどうやら今日は違うらしい。
氷柱さんと共に共有スペースに向かうとルチアーノさんリリカさんマルコスさんが居た。
リリカさんは私達を見るなり目を輝かせてこちらへ走ってきた。
少し嫌な予感がする…
「Aちゃん!遂に付き合」
「わ〜!リリカさんは今日もとても愛らしいですね!」
矢張り予想は的中していたようで全てを言い切らせる前に抱きしめて言葉を遮らせた。
何とかセーフであって欲しい。
「だよね〜!リリカちゃんの可愛さと言ったら語り尽くせないけどまず〜」
「マルコス、本人の前だぞ」
「はっ!?」
マルコスさんが語り初めかけてくれたお陰で雰囲気が変わりリリカさんも察してくれたのか申し訳なさそうに少し頬を染めながら自分の口を両手で抑えていた。
マルコスさんが見たら卒倒しそうだななんて思いつつ抱き締めていた腕を解いた。
「そういえば二人が一緒に居るの珍しいね〜どういう組み合わせ?」
マルコスさんは私が氷柱さんに毎朝特訓して貰っているのを知らないのだがら疑問に思うのも当然だろう。ましてや氷柱さんアタッカーだし。
私が説明しようと口を開こうとしたが先に氷柱さんが口を開いた。
「彼女に毎朝銃の稽古をつけてるんです。なのでその帰りですね」
マルコスさんはふーんと言うと探るような目で氷柱さんを見ていたが当の本人は薄ら寒い笑みを浮かべているだけだった。
そんな少し気まずい沈黙を破ったのは意外にもルチアーノさんだった。
「…銃を教えて欲しいと真夜中に部屋に頼みに来たのはこの為だったのだな」
「ル、ルチアーノ殿…!」
氷柱さんのポーカーフェイスはルチアーノさんの一言でガラッと崩れ白い肌なので余計に頬が赤らんでいるのが目立った。寧ろ見ていて可哀想に思うほど真っ赤になっていて耳まで真っ赤になっていた。
「こういうのは素直になった方がいいと思うぞ?」
「…分かってます…ですが過去の事もあり女王陛下の事も…」
氷柱さんが消え入りそうな声で何かを話していたが女王陛下というワードが聞こえた瞬間頭の中でピースが嵌った。
毎朝一緒にいてふとした時に何処か遠くを見つめている事があった。
今なら分かる。きっとここには居ない女王陛下の事を想っていたのだろう。
心がズキズキと痛み始めて漸く自分の気持ちに気がついた。
皮肉にも初恋が実らないというのは本当らしい。
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ブリ(プロフ) - 葉流@マルコス愛さん» ありがとうございます!アダムいいですよね…!しかもシーズン来ますしお互い頑張りましょうね!! (2019年1月27日 15時) (レス) id: 15ed17f676 (このIDを非表示/違反報告)
葉流@マルコス愛(プロフ) - はぅ……だむぅ……よき( (2019年1月23日 20時) (レス) id: e55367f9ec (このIDを非表示/違反報告)
ブリ(プロフ) - 扇ちゃんさん» 温かいお言葉ありがとうございます!今作も見て頂けてとても嬉しいです...!扇ちゃんさんのご期待に添えるような小説が書けるかは分かりませんが精一杯頑張らさせて頂きますので見て頂けると幸いです! (2019年1月16日 15時) (レス) id: 15ed17f676 (このIDを非表示/違反報告)
扇ちゃん - ブリさんの新作楽しみに待ってました…!またアダム落ちで、しかも今回は色んなコンパスキャラが出てきて嬉しいですヾ(●´∇`●)ノ更新無理せず頑張って下さい!!!応援してます(`・ω・´)ゞ (2019年1月16日 14時) (レス) id: f2fb5d5d4d (このIDを非表示/違反報告)
ブリ(プロフ) - ソーンきゅんさん» コメントありがとうございます…!更新頑張らさせて頂きますので読み続けて頂けると幸いです! (2019年1月10日 14時) (レス) id: 15ed17f676 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ブリ | 作成日時:2019年1月4日 17時