理想の誕生日～倉安編～2 (ページ11)

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やすくんの誕生日～ボクの本当の願い② ページ11

やすside

LINEだよ、LINEだよ～。

「あ、たっちょんからだ。
今日はもう、終わったんかなぁ。」

テーブルの上にあったスマホを取ると、
そこには、

「愛しのお姫様様。
残念ながらまだ撮影が終わらず、
今日も帰りが遅くなりそうです。

ほんまにごめんな。
寂しい思いさせちゃって。
この穴埋めは絶対にするから。

だから、待っててね。
俺は、帰ってお姫様様の寝顔を見るのを
楽しみに、もう少し頑張ります！

じゃあね。」

うわぁ、これってラブレターみたいやん。

嬉しい。

うん、うん。
待ってるよ、
ずうっと、待ってるから。
だから安心して、お仕事してね。

とは、言うてみたものの、

やっぱり寂しい。

一人でおるのは、寂しい。

布団の上でタディのぬいを抱きしめる。

こんな時に限って、今までのいろいろな事が頭を過(よ)ぎる。

自然に溢れだす雫。

寂しいから泣いてるんじゃない。

確かに、楽しい事、嬉しい事はたくさんあった。

けど、苦しい事、辛い事もたくさんあった。

俺のそばにずっといてくれるだろうと信じていた人達との別れ。

思いだしても仕方ないことなんだけど、

ひとりになるとついあたまを過ぎる。

早く帰るから、

そう言っていたのに、日に日に帰る時間が
遅くなっていった。

ついには、帰らない日にちも増え、

俺は帰るだろうと思っていた人を待ち続けた日々。

そして彼はいなくなった。

グループからも。

どうしていいかわからない俺に、そっと寄り添ってくれたのは、大倉だった。