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誰もいない廊下で一ノ瀬は2回屈伸をし、深呼吸を3回する。
『思い出なんかいらん』
そう呟き2回頬を叩く。
そして息をふーっと吐き、北たちが居る方へ足を進める。
北「準備はええか？」
『おう。ばっちりや』
尾「頼むで、守護神」
尾白は一ノ瀬とパチンと手を合わせる。
『頼むでエース』
尾「なんやお前が言うと重みあんな」
『弱気になんなや』
尾「なってへんわ」
一ノ瀬は尾白の方を見てケタケタ笑う。
治「優くん」
『ん？』
治「頼むで」
『任せろ』
治は一ノ瀬の方を向いて手を差し出す。
一ノ瀬は治を見て二ィっと口角を上げその手をパチンと叩く。
北「いくで」
その声で稲荷崎は目の前の扉を開く。
中へ入ると吹奏楽部の演奏や生徒、大人たちの声援が響き渡っている。
そんな中一ノ瀬はキョロキョロと視線を動かす。
角「誰か探してんの？」
『ん？1枚くらい一ノ瀬君って書いてある団扇ないん？』
侑「あるわけないやん」
『なんでやねん！IHの後俺モテてたやん！』
銀「優くんナイス自意識」
『お前も俺と同類やん』
銀「それは嫌や」
『なんでやねん』
北「優。集中しぃ」
『んッ』
北の声掛けで一ノ瀬は視線を前に戻す。
そして公式ウォームアップが始まる。
『ナイスキー』
一ノ瀬はレシーブをしてセッターにボールを繋いでいる。
稲荷崎の後、烏野がウォームアップを開始する。
一ノ瀬はじぃっとその様子を見つめる。
北「どや？烏野は」
『ん？誰が相手だろうがうちが勝つ。せやからどうもこうもない』
北「...そうか」
『...あの10番。よぉ跳ぶな...ヒナタショウヨウか』
北「せやね。ちっこいのによぉ跳ぶわ」
一ノ瀬は無表情のままアップを見ている。
北「優」
『ん？』
北「顔」
『顔？』
北「もっと緩めなあかんよ」
北は一ノ瀬の頬をつかみ軽く引っ張る。
『おう。でも...信介もやで〜』
一ノ瀬は仕返しと言いながら北の頬を軽くつまむ。
北「ふはッ！せやな....優」
『なーにー？』
北「実力の差見せつけたり」
その言葉に一ノ瀬は不敵に笑う。
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作者名：みる | 作成日時：2022年12月5日 21時
