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整列をして観客席へ頭を下げる。
全「「ありがとうございました！！」」
コ「一ノ瀬。お前はこっち来ぃ」
『あ、はい』
一ノ瀬は尾白に『行ってくるわ』とだけ伝え、コーチの後ろをひょこひょことついていく。
そんな彼の後ろ姿を2年生達はじっと見つめる。
侑「足...全然大丈夫とちゃうやん」
治「せやな」
銀「あんな状態やったんか」
角「....」
北「おい。いくで」
北は2年生達に声をかけ会場を後にする。
一ノ瀬は医務室の椅子に座り、ガーゼを取る。
ガーゼには血がべったりとついており傷周りも赤黒くなっている。
コ「痛いか？」
『痛い』
コ「無茶しとんな...ほんま」
『そらしますでしょ』
一ノ瀬は処置をしてもらっている間、ぼーっと外を眺めている。
コ「悔しいか？」
『めっちゃ悔しい。ほんまきぃ〜ってなります』
コ「そうか。っちゅーか、この怪我選手生命に関わったらどうないすんねん」
『どうもしません』
コ「は？」
『関わったとしても俺は出てたと思います』
コーチは一ノ瀬の表情を見つめてため息をつく。
そして頭を撫でるように触り「処置終ったら戻ってき」とだけ言い、部屋を出ていく。
――すると
北「優。入んで」
『おん』
北「足大丈夫か？」
『大丈夫やないけど大丈夫』
北「どっちやねん」
北はふっと笑い一ノ瀬の横に腰を掛ける。
その後はどちらとも話すことなく無言が続く。
医「とりあえず処置はしたからあとは病院に行きなさい」
『はい。ありがとうございます』
一ノ瀬はペコっと頭を下げ北と一緒に部屋を出る。
『....あー！！終わってまったなぁ』
北「せやなぁ」
『楽しかった！！ほんまに楽しかった！！』
北「うん」
『信介がバレーを教えてくれたあの日から毎日が楽しかってん』
北「そうか」
『せやから信介。ありがとう』
北「....優」
『ん？』
北「俺な侑たちにも言ったんやけど...どや。俺の仲間すごいやろってもっと言いたかったわ」
『....』
北「それに礼を言うのはこっちもや」
北は一ノ瀬に向き合い両手をそっとつかむ。
そしてゆっくりと目を合わせる。
北「優。夢のような時間をありがとう」
一ノ瀬の目からはポロポロと大粒の涙が流れる。
北「ずっとそばに居ってくれてありがとう」
北は一ノ瀬の涙を優しく拭う。
北「世界で頑張りぃ。ずっと応援しとる」
『しん...すけ...しんすけぇ』
北は一ノ瀬を優しく抱きしめる。
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作者名：みる | 作成日時：2022年12月5日 21時
