【HQ!!】稲荷崎の護り神② (ページ31)

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1年「北さんよくぽっと出てぱっと活躍できんなー」

1年「お前とは経験値がちゃうやろ」

角「でも北さんが初めて試合に出たのって3年になってかららしいけど」

1年「え！？ほんまですか！？百戦錬磨みたいな雰囲気出してんのに」

1年「中学で活躍しとってもここじゃ簡単に出られんって話やろ」

角「いや、中学3年間スタメンどころかユニフォーム貰ったことないって聞いた」

1年「え？」

角「だからだろうな....」

角名は北と楽しそうに話す一ノ瀬を見つめる。

角「北さんとずっと一緒に居て、ずっと信じ続けて、今やっと同じコートに立ててる」

1年「？」

角「優くんが今までで1番楽しそうなわけだ」

監「(信介の実力はまぁ、うまい方。一ノ瀬と比べて身体的技術的に優れとるわけやない。ただし練習で出来ることは本番でも必ずやる。驚かんことが信介への1番の賞賛)」

山口はジャンフロを打つも北のレシーブによって得点へは繋げることが出来ず。

北「(喝采はいらん。ちゃんとやんねん)」

一ノ瀬は北の姿を見てますます目を輝かせる。
まるでこの日をずっと待っていたかのように。

『信介！』

北「なんや？」

『めっちゃ楽しいな！』

北は一ノ瀬の笑顔につられ口元を少し緩める。

北「せやな」

黒「あれが一ノ瀬くんがずっと言ってたキャプテンね」

弧「丁寧って感じの人だね」

黒「まぁ珍しいタイプの選手だよな」

弧「なんか一ノ瀬さんもさっきより楽しそうだね」

黒「そりゃそうだろ」

弧「？」

黒「あいつ言ってたんだよ」

―回想―

『小中と一緒に試合出たことないで？』

黒「何で？お宅のキャプテン強くないの？」

『はぁ？埋めるで自分』

黒「こっわ」

『高校やって3年でやっと試合って感じや』

黒「ふーん」

『俺は信じとんねん。あいつといつか同じコートに立って試合に出る』

一ノ瀬はくるっと黒尾の方を向き真剣な顔で言い放つ。

『そのためにずっとバレーやってんねん』

黒「小中...それで高校。あいつはずっと待ってたんだよ。この日を」

弧「...そうなんだ」

2セット目は25-16で稲荷崎の勝利。
黒尾は大きな口を開けて笑っている一ノ瀬を見つめる。

黒「ほんと...妬けちゃうよな」