その声で【 YMIN短編集 】

White ページ17

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大きなチャペルの周りには綺麗に咲かせられた花たち。
結婚式場ではたくさんの幸せが生まれる場所だ。俺はそんな場所でスタッフとして働いている。
プランナーのように一緒に幸せを作っていくわけではないけど、この仕事だって幸せな2人の手伝いが出来ている気がする。



今日もまた素敵なカップルが夫婦へと関係を変えていく。
俺は別に恋愛沙汰なんて興味ないし俺自身にとってはどうでもいいこと。
まあ、幸せそうだなー良かった とは思ってるけど。その立場を自分にってのは当てはめられないかな。



今日は3月14日。俗に言うホワイトデーってやつだ。
そんなわかりやすい日に結婚式を挙げるカップルはシュッとしたスタイルのいいイケメンと可愛らしい雰囲気を身にまとった女性。
それはもうお似合いだ。美男美女カップルだし。



披露宴になればここからは俺の仕事本番だ。
料理を運んだりドリンクを出したり、なかなかに忙しい。
お客様に出来ることは他にないだろうかと周りをキョロキョロと見渡してると、ある男性に目を惹かれた。



すごく綺麗な顔の若い男性。
その顔は中性的だけど身長とスーツで男性だと判断できる。
まあドレスでも着られたらまずわからないだろうけど。



でも、俺が目を惹かれたのはそれだけが理由じゃない。
だって彼は白いスーツを着ているから。
結婚式に白いスーツやドレスを着てくるのはご法度だ。



なのになんで…
こんなの常識なんだから彼だって知らないはずはない。
そのスーツの白が彼の儚さを引き立てて。
朧気なその視線の先には先程夫婦になったばかりのあの2人。





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