連れ去られる二人 ページ6
「なんだ…こりゃ」
リクオを踏みつけようと足を出す土蜘蛛の攻撃を鏡花水月で躱す。
少しずつ効き始める攻撃に、奴良組の側近達は気づく。
これは、以前玉章と戦った時と同じ昼と夜が混ざり合った姿だと。
「うおおおおおおおおお」
雄叫びを上げ土蜘蛛に向かうリクオだったが、土蜘蛛は容易くそんなリクオを自分の手の中に閉じ込める。
「調子に乗るな」
地面へと投げ出されるリクオは更に血を吐く。
百鬼夜行破壊ーそれが土蜘蛛の"畏"である。
徹底的に大将を狙い続け…なぶり続ける。
するとーどのような強者が百鬼にいようが力を発揮できなくなってゆく。
百鬼が脆くも崩れてゆくのである。
もしリクオが土蜘蛛の畏に耐えることが出来たなら…本当の大将の畏を纏っていたなら…事態は変わっていたはずなのだ。
土蜘蛛はーリクオにとってまだ会ってはいけない妖だった。
「フン。飽きたな、帰るか」
斬られた人差し指をくっつけながら退屈そうにそう立ち去ろうとする土蜘蛛。
「こんなところで…負けられるか…」
そこには、ぼろぼろの血だらけになりながら刀を手に立ち上がろうとするリクオの姿があった。
「……なんなんだおめー。なぜ壊れない！？」
ハアハアと荒い息を繰り返しながらも立ちあがろうとするリクオに、もう立たないでくれと頼む妖怪達。
しかし、自分は大将なのだからとそれを拒む。
そんなリクオを見て、これではまだ百鬼夜行は壊れていないと判断する土蜘蛛。
「おい、お前…やるじゃねぇか。いいひまつぶしになりそうだ」
そう言うと土蜘蛛は雪女を摘み上げる。
そして、地面に倒れ込むAに気がつく。
見ると、雪女の傷は先ほどと比べて塞がっている。
そして、倒れる少女の息は荒々しく体も熱い様子。
恐らく熱も出てしまっているだろう。
雪女の治されている傷と倒れ伏すAを見て目を見開くリクオ。
まさか、Aがー？
土蜘蛛もそれに気がついたのか、倒れるAのことを掴んでしまう。
そして、Aの力を目の当たりにして同じように驚く奴良組や遠野勢。
それは陰陽師側も同じ。
「……！？あっ……う……て…てめ…何しやが…る…！！」
「こいつは無傷で連れて来いって言われてたな。おれは相克寺ってとこにいるぜ。来いよ、自慢の百鬼を連れてな」
ニヤッと笑って姿を消す土蜘蛛。
「おいっ…まて…ふざけん…土蜘蛛ッ…土蜘蛛ぉおぉおお」
連れ去られた自分の大切な部下と最愛の妹を見て、そう絶叫するリクオ。
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作者名：エッグタルト | 作成日時：2024年3月7日 1時
