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ぬらりひょんと羽衣狐 ページ40

「おーおーずいぶんと若い姿になりよったのう。四百年前よりピッチピチじゃの、ここが産卵場所かい?」

階段を降りて来るぬらりひょんをじっと見つめる羽衣狐。

その瞳に映るぬらりひょんの姿は、今のぬらりひょんの姿だがその背後には四百年前の姿も感じ取れる。

「…なんじゃ、おまえずいぶん老いたのう…」

次の瞬間、羽衣狐から放たれた尾がぬらりひょんの顔を貫いた。

鏡花水月を発動し、近くの岩場に足をかけながら羽衣狐の元に向かったぬらりひょんは、そのまま彼女の手を掴んで池に押し倒す。

顔からは先程の攻撃で受けた傷からの出血が。

「てめぇがうちの二代目を殺したのかい」

見つめ合う二人。

「…だとしたらどーだと言うのだ?」

ユラァと動く尾の気配を感じて飛び退くと、近くの岩に降り立つ。

「闇が再びこの世を支配する。われらの宿願が果たされるまでもうすぐじゃ。その前ではそのような些事…どうでもよかろう」

ペロと手を舐める羽衣狐を険しい顔で睨みつける。

「…その宿願に、うちの孫がどう関係する」

問いかけたのは、狙われている孫娘のこと。

四百年前、羽衣狐が珱姫達不思議な力を持つ姫を狙ったのは、産まれてくる鵺のためにより強い力を持つ者の生き肝を欲していたから。

Aもそのために狙われているのか。

だが、もしそうだとするならばもっと早く、そして強引に奴良組の元から彼女を連れ去ったはず。

奴良組と真正面から対峙した時に彼女の亡骸を見せた方がより相手に絶望を与えることができる。

しかし、浮世絵町に来た鬼童丸もAに声をかけただけでその場を去って行った。

何か違う目的があると勘繰ったとしても不思議ではない。

ぬらりひょんの問いに、羽衣狐は一瞬虚をつかれたように動きを止めたが、次の瞬間には不適な笑みを浮かべた。

「…あの娘、Aとか言ったか…四百年前のあの姫よりも強い力を持っておる。それにどうせ壊すなら…もっと派手にやった方がおもしろいじゃろう?」

ぬらりひょんはAの力を実際にその目で見たことはない。

ただ、彼女がそれを打ち明けてくれた事実のみ。

しかし、珱姫よりも強い力を持っている…?

それに、今まで自分達は気づいていなかったというのだろうか。

羽衣狐にとってAのことは、単なる興味、そして余興。

大勢の奴良組の妖怪達の前で彼女を壊すことで奴良組の士気を下げる。

そのためだけに執着しているー?

しかし、それ以上答えてくれる気はなさそうだった。

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作者名:エッグタルト | 作成日時:2024年3月7日 1時

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