青田坊としょうけら ページ21
花開院本家にて、しょうけらと撃ち合う秋房だったが、以前受けた頭部の傷が開いてしまったことで一瞬その動きを止める。
その隙を見逃さなかったしょうけらにより肩を斬られてしまい、絶体絶命かと思われたその時。
勢いよく振り下ろしたしょうけらの武器を素手で受け止めたのは、奴良組特攻隊長が一人青田坊。
「おいおい…何してんだ?京妖怪…ここに入っちゃ〜ダメだろぉ〜」
「……なんだ…貴様」
ニヤリと笑う青田坊を怪訝そうに睨みつけるしょうけら。
「人と妖にゃ〜領分てものがあるぜ。むやみやたらと命を奪うの…俺はあんま好きじゃねーんだわ」
「…貴様も妖怪のようだが何を言っている……?」
妖怪でありながら人間(陰陽師)である秋房と妖怪であるしょうけらとの闘いの間に割って入った青田坊に、理解ができないという顔をする。
そんな青田坊に襲いかかって来た別の妖怪は、青田坊の拳が顔面にめり込んだかと思うとそのまま地面に叩きつけられた。
ピキピキと嫌な音を立てる拳。
「ただしてめーらみてぇなのは、別だ。兄ちゃん悪ぃけど出ていってくれや。陰陽師助ける義理はねぇが守んなきゃならねぇもんがあるんでな!!」
「ほう…」
しょうけらはその言葉を聞いてゾワゾワと妖気を激らせる青田坊にその目をスッと細めた。
「守るべきもの…だと?」
パキボキと拳から音を鳴らす。
「我らが大義…のことではなさそうだな…お前も神に背く愚か者のようだ」
「おい、二枚目。ごちゃごちゃいってんじゃねぇ、出ていけよ」
バキボキと指を鳴らしながら悪い顔で笑う青田坊に目を細めて睨みつける。
「…口のきき方を知らん奴だ。茨木童子並…愚かな奴…懺悔して悔い改めよ」
「何?ザンゲ?」
背後から襲いかかってくる京妖怪達を拳一つで沈める。
「意味わかんねぇな」
壁に激突してめり込む京妖怪達。
「悪いけどよぉ…オレ、仏門なんだよ。オレにもわけるよーに言ってくれや」
「…色々ヒドイな、無知な男だ…」
「フンッ」
拳をかためて向かって来る青田坊に、武器から「ひかりあれ」と不思議な光を放つしょうけら。
その余りの眩さに思わず腕で顔を覆ってしまう。
「…ならば教えてやろう」
「ガッ…」
いつの間にか近づいて来ていたしょうけらの刀が青田坊の体を貫く。
「これは罪人を差す針だ。動けば誰もがあまりの痛みに狂って死を選ぶ」
口から血を出しながら「何者だお前」と問いかける青田坊に、しょうけらは背中から羽根を出現させる。
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作者名:エッグタルト | 作成日時:2024年3月7日 1時