昔のように ページ18
「フゥ〜まけたかな」
池は京妖怪達から離れた寺の外の地面へと繋がっていた。
そちらを見上げてそうのんびりと告げる河童。
「紀乃…大丈夫か紀乃…」
「首無…」
池から出て倒れ込む毛倡妓に心配そうに声をかける首無。
「無事でよかった！！」
ガパッと勢いよく抱きしめられたことで、その豊満な胸に顔を埋めることになり顔を赤くする首無。
そんな二人を見てコホンと咳払いをした河童は、隣で引いたような引きつった顔をしているゆらに視線をやる。
「えー…この子に礼を言っときなよ。助けるの協力してくれたんだから」
ギュウッと抱きしめられながら顔を上げると、ジッと自分を見下ろすゆらと視線が合う。
「陰陽師の……そ、そうか…すまないな」
「えーんや。ただカリをかえしただけや、旧鼠のときのな」
腕を組んでそっぽを向きながらそう返すゆらに驚いたような顔をしながらも礼を述べる首無。
「ああ…ありがとう」
「妖怪助けるんはこれっきりやー！！」
口をミッフィーちゃんのようにキュッと閉じながら指を突きつけて叫ぶゆらを宥めるのは十三代目。
「まーまー、ゆらちゃん。ボクらがいんと封印はできんのやし、君らがおらんと羽衣一派は倒されへん」
十三代目は不敵に微笑む。
そこには、ゆらや首無達を始めとした一同が顔を合わせていた。
「一緒に闘うんや。奴良組と花開院…昔と同じ様にな」
そんな彼らを傷を負いながらも睨みつける鬼童丸。
「ウロチョロと…鵺の誕生まであと四日を切っているというのに…無駄な足掻きを貴様ら…！」
その頃花開院本家では。
弐條城のあった場所に突如として現れた城をリポートするテレビを見つめる清十字怪奇探偵団の姿があった。
レポートする女性アナウンサーの姿は、現れた妖怪達に襲われたのか悲鳴が上がり、次の瞬間にはテレビは砂嵐が流れるだけで何も映らなくなってしまった。
青ざめた顔でテレビを見つめる一同の後ろで、目を閉じてソファに横になるのは倉田。
雪女に護衛として花開院本家に残されて彼らの護衛をしている青田坊である。
外に出てせめて写真を撮りに行かせてくれと訴える清継を冷や汗を浮かべながらも必死に止める陰陽師。
そんな中、青い顔で考え込むカナに青田坊が声をかける。
「心配すんな、座ってろよ」
「…倉田くん…？」
不思議そうに振り返るカナだったが、ドンッという激しい音と衝撃が部屋に響いた。
外では、攻め入って来た京妖怪達と向かい合う陰陽師達の姿があった。
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作者名：エッグタルト | 作成日時：2024年3月7日 1時
