封印による助け ページ16
首無と共に京妖怪の茨木童子を追い詰める毛倡妓だったが、彼の卒塔婆が外れてしまったことにより力が解放されてしまった茨木童子に逆に追い詰められてしまう。
斬り刻まれそうになる首無の元へ駆けつけようとした毛倡妓の体を刀が貫く。
「生き肝が届かぬからと来てみれば、こんな奴らを相手に何をしている」
現れたのは鬼童丸。
「だまってろ。今からかたづけんだよ、鬼童丸」
顔の半分を鬼の顔に覆われて冷たい目でそう答える茨木童子。
「首無…ゴメ…ン…」
口から血を吐きながら地面に倒れた毛倡妓は、それでも顔を上げて首無にそう告げた。
「紀乃ー!!」
自身も血を流し満身創痍になりながらも叫ぶ首無目掛けて、「すぐ終わる」と茨木童子は刀を振り下ろす。
絶体絶命かと思われた次の瞬間、空から巨大な木の柱が降ってきて地面に突き刺さった。
咄嗟に駆け寄る鬼童丸の手がバチっと見えない結界か何かに阻まれる。
「…な…なんだと……」
「ムダやで。封印してもうたら、君らでは解くことはできん。京妖怪の中では羽衣狐しかな…奴良組の妖怪クン!ごくろーさん」
目に見えたのは額に朝を浮かべ険しい表情で指を立てて構えるゆらと十三代目の姿。
「八・七・六と、これで封印は3つ」
指でそう数える十三代目。
ゆらと十三代目は、奴良組や遠野妖怪達と別れた後で再度封印を施しに行っていたようだ。
彼らは彼らで、できることをしている。
「な…ゆらちゃん、言うたやろ。奴らは弐條城を落としたら…守勢に回るって!!」
不敵な笑みをこぼす十三代目の姿に、京妖怪達の目には憎しみと怒りの感情が浮かぶ。
当然だろう。何故なら彼もまた、憎き奴良組と同じく四百年前に羽衣狐の宿願を阻止した男なのだから。
「またお前か秀元…!!」
激しい憎悪をたぎらせる。
「いまいましい蘆屋道満の一族め…!!我ら鬼の眷属の手で塵にしてくれる…!!」
近くで感じれば震えてしまいそうになる程のそれに触れて、試すようにゆらを見る。
「やって…どうする、ゆらちゃん」
「…や、やれるもんならやってみぃ…!!人間をなめんな!!返りうちにしたる!!」
恐怖を感じながらも、式神を構えて堂々と宣言してみせたゆら。
そんなゆらを見て柔らかい笑顔で呑気にパチパチと小さな拍手をする十三代目。
「そうそう、よくできました」
羽衣狐が弐條城にて鵺を出産するまで、残り97時間。
「京妖怪は私が滅します!!」
封印を間に式神を発動し鬼童丸と向かい合うゆら。
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作者名:エッグタルト | 作成日時:2024年3月7日 1時