怖い思い ページ49
「あ…ありがとう……」
助けてくれた妖怪に、カナは鏡の向こう側にいたのはリクオだと疑問を膨れ上がらせる。
「いらっしゃい。おりょおりょ、じじいのとこの孫じゃーないかぇ。もうこんなとこくる歳になったのかい…通りな。妖怪だったらフリーパスだ。ん?今…誰か連れてなかったかい?」
「こっちだぜ、カナちゃん」
リクオとカナ、そしてAが歩いてきたのは妖怪和風隠食事処「化猫屋」
出迎えてくれる妖怪に怯えるカナに、リクオは悪戯に微笑む。
「どうした?あんたが望んだことだろう?」
「え…そ、そうだけど」
夜のリクオに助けられたカナは、慌てて呼び止めようとして躓き、咄嗟にリクオに抱えられた。
そこで、足を怪我したことに気がついたリクオはカナを抱き抱えるが、そこに清継からもらった通信機が振動した。
それは、自分の無事を確認するためのもの。
そんな清継に己の勘違いだったと告げるも、清継は妖怪の主に助けられたのではと勘繰る。
そこでカナは目の前の妖怪に聞きたいことがあるのだと決意を固めるが、その体はリクオに抱えられて学校の外へ。
その様子を呆気にとられた様子で見つめるAと、カナを抱えたリクオの目が合うがAは曖昧に笑うとそっと目を逸らす。
ふと気がつくとカナは抱えられたまま空を飛んでいた。
「家におくるだけだぜ。こっち…だよな?」
そんなリクオに、カナは否定の意を示す。
「お願い…もうちょっとだけ一緒に…あなたのこと…もっと…教えて下さい!!」
そんなカナを見下ろし「怖い思いしてもいいんだな?」とボソっと呟くリクオ。
そして、一瞬冷静さを取り戻してAの存在を思い出してくれたカナがAへも同行を求めたのだ。
何とかして帰りたい意志を伝えるAだったが、その願いは届かずリクオの圧に押され一緒に来てしまった。
リクオにすり寄る妖怪やカナに質問する妖怪達は、カナが誕生日であることに祝いの言葉を述べる。
その横で、Aは必死に気配を殺していた。
父に連れられて何度か来たことも、旧鼠事件の時に一人で訪れたこともあるため、彼らはAのことを認識している。
そのためうっかりとボロがでてしまいそうになる。
「で、何の妖怪なの?」
そう尋ねられたカナにリクオは身を寄せると耳にそっと囁いた。
その距離の近さに顔が赤くなるカナ。
「人間てバレたら後で喰われるかもよ…」
焦るカナを尻目に妖怪達は清継からの人形が気に入ったようで騒ぎ始める。
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作者名:エッグタルト | 作成日時:2024年1月15日 0時