斬り合う二人 ページ41
「朝になればその姿からーまた元に戻るのかリクオ」
刀を首に当てがったまま、会話は続く。
「ああ、そうかもな…」
「そして、妖怪であることは忘れてしまうのか」
外では雷鳴が鳴り響く中、二人は睨み合ったまま。
「もう一度きく。自らの意志では妖怪変化を成せぬのか。今のお前は昼間の記憶はあるか。『昼』がその姿知らぬなら、夜と昼は…別人だというのか」
問いかける牛鬼の刀がリクオの首筋に傷をつくり僅かに血が流れる。
「…ずいぶんくわしいじゃねぇか、牛鬼…そんなに…オレが気になるのかい…？」
そのリクオの言葉に目を見開いた牛鬼の刀は、次の瞬間より深く首に食い込む。
「質問に答えろ」
その瞬間、リクオの目の前にはこれまで彼が斬りつけてきた妖怪達の姿が見えていた。
ガゴゼ、蛇太夫、そして旧鼠。
それは恐らく幻覚。
幻覚のガゴゼや蛇太夫達が牛鬼と同じことを問いかけてくる。
組を継ぐ意志はあるのか、あの時自分達を殺した時のことを。
リクオは勢いよく幻覚の二人を切り裂いた。
そんなリクオに幻覚の旧鼠も語りかける。
「知っているのか？二代目が死んでから…組が弱体化してしまっていふことを。テメェに…秩序なくしたこの世界をもう一度まとめる気があるってのかぁー！？」
旧鼠は小さなネズミ達をリクオに襲いかからせ、切り裂いた筈のガゴゼや蛇太夫も再び襲いかかってくる。
「リクオォー！！！自分を守ってくれる百鬼夜行がいなければ…そんなものか！！総大将はー違った！！お前の継いだ血はくさってしまったと言うのか！！」
そう心から叫ぶ牛鬼だったがリクオは幻覚の三人を切り裂いて言葉を返す。
「牛鬼よ…ためしてんのか？オレを…みくびんじゃねーよ」
そうして使うのはかつて総大将であるぬらりひょんが使っていた技。
「答えてやる牛鬼。夜の『意志』は変わらねぇ。血に目覚めた時からな。オレは三代目となりーてめえら全員の上に立つ！！」
そんな二人の元へと急ぐ黒羽丸とトサカ丸。
そして、捕えられた馬頭丸は温泉に逆さまに縛り付けられたままササ美に鞭で打たれていた。
そして、陰陽師であるゆらに助けを求めるという本末転倒の事態。
ゆらはそんな様子を呆れと不思議さを持って眺めていた。
山頂の屋敷では、二人の斬り合いも終盤に差し掛かろうとしていた。
二人は再び刀を交えながらお互いに会話を行う。
「まだだ…お前は…こんなものなのか！！」
「牛鬼…オレを殺して……その後どうするつもりだい？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 13人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：エッグタルト | 作成日時：2024年1月15日 0時
