別荘到着 ページ35
今宵は新月、あらしの夜。大将の首を狩るにはふさわしい夜だ」
「午頭丸」
木の上で化原先生を操っていた少年の前に姿を現す午頭丸。
そこにいたのは、牛か何かの被り物をした長い髪の少年。
「馬頭丸よ。うまくとどまらせたようだな」
「ここまでが大変だったぞ。ここからどうすれば？」
「若頭には…常に側近とやらがいるようだ。どれかはわからんがな。まずは奴らをバラバラにすること。そしてー一人ずつ片付けることだ」
不敵に笑う午頭丸。
そんな少年に「あ」と小さく声を上げる馬頭丸。
「どうした」
「一人だけ、気配を察知したのかもって奴がいたんだよな…。女の子っぽかったし、もしかしてあれが"噂の“妹なんじゃないのかなって」
妖怪の気配に敏感だって言うしと続ける馬頭丸。
その言葉に少し考え込む様子を見せる午頭丸。
「お姫様のことは、どうすんの？」
「…気づかれたとしても、唯の人間なんだろ。一先ず様子を見るぞ」
そんな午頭丸の指示に小さく頷く馬頭丸。
別荘の中は豪華なシャンデリアや高価そうな壺や置物なども置かれており、とても広々としていた。
その様子にみな感嘆の息をもらす。
「さあ、おまちかね。この奥が特製の温泉だよ。女の子たち…先に思うぞんぶん入るがいい」
得意げに告げる清継の言葉通り、温泉も豪華なつくりになっていた。
巻や鳥居をはじめとした女子達が嬉々として温泉の向こうへ消え行くのを確認し、清継は怪しげな笑みを浮かべた。
「ではさっそく、『夜の妖怪探索』に行こうじゃないか！！邪魔者はいなくなったしね！！」
どうやら、そのために女子達を温泉へと誘導したらしい。
「い…今からですか〜？」
「バカ！！目的を忘れすぎだぞ島くん！！我々の目的は！！妖怪につかまることだったじゃないか。さっきの…化原先生のメッセージをきいただろう？夜なら…出るんだよ！！きっとここなら会える！！妖怪の主に」
そんな清継と島を見て、リクオは慌てて止めに入る。
「ちょっと…待ってよ！！行かない方がいいよ！！君たち妖怪を甘く見てるよ！ホントに…人を襲う奴もいるんだよ」
しかし清継は聞く耳を持とうとしない。
「どうしても行くなら…ボクも行く！！君たち二人じゃあ…危なすぎるから！！」
「ちょっとお待ちを！！だったら私も行きます！！」
そこへ現れたのは氷麗。
驚き目を巻くリクオに、リクオを危ない目にあわせられないと告げる雪女。
こうして男子達と雪女の妖怪探索が開始された。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 13人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：エッグタルト | 作成日時：2024年1月15日 0時
