熱を出すリクオ ページ31
旧鼠事件の翌日、リクオは熱を出して学校を休んでいた。
タオルやら氷嚢やらを変えるために首無や納豆小僧が走り回り、毛倡妓もリクオの側について看病を行っていた。
そこにふらりと姿を見せたのは、薬を持ってきた鴆。
「情けねーのな、昼のおめーはよ。ちょっと気負いすぎて発熱か」
そんな鴆にムッとしたように少し唇を尖らせるリクオ。
「…鴆君に言われたくないよ」
「今はおめーの方が重病だろーが。なぁ、本当に出入りに行ったことも覚えてねーのか？」
「それは…」
頭に過ぎるのは、桜の樹の下にいた銀髪の男の姿。
「オレはな、あのお前に三代目を継いでほしいと思ってんだぜ…」
そうこぼす鴆に何か思いを馳せるように口を閉じるリクオ。
「ホラ鴆様。リクオ様は安静にしてないと。あなたこそ寝てなくていーんですか？」
毛倡妓は鴆を廊下へと追い出すとそう問いかける。
「ち……家が修理中で渡り鳥なのよ。四時か…そろそろ会議だな。行くわ…じゃーなリクオ」
鴆は時計を見上げるとそう言ってリクオの部屋を後にしようとする。
そんな鴆を呼び止めようとするリクオだったが、その瞬間鴆を突き飛ばしながら部屋に駆け込んでくる雪女。
「若〜すいませんー！！私としたことが！！側近なのに！！若が学校に来てないのを知らずに普通に登校してましたー！！」
雪女は泣きながらそう言うとリクオの手を握るが、リクオは今熱が出て体温が上昇してしまっている。
案の定、リクオの手を握ってしまった雪女はその熱さに耐えきれず、氷水に手を入れる羽目になってしまった。
そんな雪女の様子を呆れたように見つめるのは、妹のAである。
「…大丈夫？」
その言葉はどちらに向けられたものか。
「昨日の言葉、そのまま言ってあげたいくらいだよ。心配かけないでって」
「それは…ごめん。でも、いつも無茶ばかりするAのことが心配なのは事実だから」
「それは…」
熱に浮かされているはずなのに、あまりにも真っ直ぐに見つめてくるものだからついドキッとしてしまう。
「それはそうと…氷が…氷がでかいよ…」
薬の用意をするために部屋を出て行った氷麗が用意した氷嚢は、リクオの頭に収まり切らず落ちそうになっていた。
「やっと来た…つらら…これをどーにか」
開け放たれた戸にそう声をかけるリクオだったが、そこにいたのはカナと清十字怪奇探偵団のみんなの姿。
熱が出たことを馬鹿にする清継だが、カナは苦笑いしながら見舞いだと告げる。
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作者名：エッグタルト | 作成日時：2024年1月15日 0時
