幼少期�◆七擦箸侶�嘩 ページ4
とある日の放課後。
体調が芳しくなく学校を休んでいたAは、庭に佇むリクオとその側に心配そうに集まっている雪女や首無、青田坊達の姿を見つける。
「なにか…あったの？今日は総会だって…おじいちゃんが…」
お兄ちゃんも、昨日嬉しそうに、私に話してくれたのに…。
リクオに目をやると、何やら元気がない様子で、そんな兄の姿をあまり見たことがないAは少しばかり動揺してしまう。
そろそろリクオに三代目を継いでもらうのもいいかもしれないと言っていた祖父や、日頃から三代目を継ぎたいと言っていたリクオの様子からいよいよその話を総会で宣言したのではないかと思っていた。
お兄ちゃんなら、その話を聞いて今頃嬉しそうにしていても不思議じゃないのに…。
Aは、リクオが学校で清継やクラスのみんなから妖怪について悪く言われたことを知らない。
そして、そのことでリクオがショックを受けつい先程、三代目を継ぐことを拒否して総会を飛び出してきたことなど何一つわからないのだ。
組のもの達も、昔からAに対して三代目のことや総会など、組に関係する話をしてきたことがない。
祖父や母、そして兄から聞く以外に、この少女が奴良組の現状について知るす術はない。
「A…。そうだよ、Aだって」
「お兄ちゃん…？」
「Aだって、ぬらりひょんの孫なんだから、Aが奴良組の三代目になったっていいじゃないか！ちょっと、身体がしんどい時だってあるかもしれないけどっ、そんなの…」
「…っ」
不意に兄の口からこぼれ落ちた言葉に、Aの胸がぎりっと締め付けられるように激しく痛む。
思わず胸のあたりに手をやってぎゅっと抑える。
ーそう。
リクオは知らないのだ。
妹であるAが、祖父の血を一ミリも受け継いでいない“唯の人間”だということを。
恐らく、リクオには何の悪気もなく、ただ思ったことを言っただけ。
Aも、いつもなら何も思わない。ただ笑って、「むりだよ」と流すだけ。
けれどー。
胸の中で抑えようもない程に湧き上がってくる嫉妬心や、止められない怒りや寂しさがいつものように笑うことをAに許さなかった。
雪女や首無達が心配そうにこちらを見ているのがわかる。
「わたしだって…っ！そんなの、わたしが一番思ってるよ…っ」
何もできない無力な自分には、価値がない。
「…お兄ちゃんには、わからないよ…っ」
目に涙を浮かべたAは、自分の部屋へと走って行った。
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作者名：エッグタルト | 作成日時：2024年1月15日 0時
