宴会騒ぎ ページ21
なぜか族の総長になったらしい青田坊と帰り道で合流し、帰路についていた一行の耳に届いたのは何やら騒がしい音。
奴良組本家にたどり着いた途端、屋根の上や庭の木の上で酒を飲み陽気に騒ぐ妖怪達の姿。
広間に入ると、これまた酒を飲み陽気に騒ぐ妖怪達。
こ、これは…まさか…。
朝家を出る時に始まった宴がまだ続いていた様子。
慌てて駆け出し広間の戸を開け放ったリクオの後に続いて顔を覗かせたAの顔が思わず引き攣る。
「おおお!!リクオ様〜やぁっと帰ってきましたぁ!!みなの者!!主役のとうじょうだぞ!!さぁさぁどうぞどうぞ。ほうらもうすぐ夜ですぞ。みんなに見せてあげなさいよ…パパッと変身して下さいや」
この間のリクオの宣言がよほど嬉しかったのか、滅多に見ないくらいに酔っ払って上機嫌なカラス天狗。
そんなどんちゃん騒ぎの妖怪たちにリクオは脅すように叫ぶ。
「日曜日は学校のみんなが来るんだぞぉー!!」
そんな大騒ぎを目の前にしてAは、あまりにも強いお酒の臭いに酔っていた。
ああ…頭痛いかも…。
そんなAの様子に、リクオは優しく廊下に出るように促す。
Aはその言葉に甘えて廊下に出ると、深く息を吸い込んだ。
全く感じないわけではないが、幾分かはマシだ。
みんなのことは嫌いじゃないけど…こういうところはどうにかならないのかな…。
戸を閉め切ったリクオに対し、少し落ち着きを取り戻した妖怪達は隠れなければならないことに納得がいかずリクオに詰め寄る。
「だから…若。な〜んでワシらがコソコソせにゃ〜ならんのです!!」
「人間の友達が来るから…かくれろだあ!?」
「あのねぇ〜ワシらは妖怪一家なんですがねー!!」
妖怪達の言い分も尤もである。
妖怪はヒトを怖がらせてなんぼだからだ。
「…事情はわかるけど、頼むよ…。君らのためでもあるんだ」
「ワシらは人間からおそれられてナンボ」
「そいつらが何者だっちゅーんですかい」
ブーイングをする妖怪達を宥めるリクオだったが、何者かというというに少し遠慮気味に答える。
「陰陽師の末えい」
何気なく放たれたその事実に、さっきまで威勢の良かった妖怪達の動きがピタリと止まる。
陰陽師の末えい。
聞こえた言葉に面白いくらい見事に固まった。
そんななか、浮世絵町東口のとある繁華街ではー
警察官が、若いホステスが人間の女を喰らっているところを発見していた。
ホステスー旧鼠と呼ばれる妖怪である。
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作者名:エッグタルト | 作成日時:2024年1月15日 0時