幼少期� 式�戯好きの兄と病弱な妹 ページ3
関東平野のとある街、浮世絵町ー
そこには、人々に今も畏れられる「極道一家」があるというー
「若ー。若様ー。あら、そんなところで…どうされました？」
着物姿で小さな男の子を探す少女がいた。
ふと。庭の隅でうーん、うーんと唸り蹲る少年の姿を見つける。
「リクオ様！？おなか痛ですか！？ど、どうしましょ…」
慌てて近寄る少女の身体に糸が巻きつき、木に吊るされてしまう。
訳もわからず困惑する少女に、それまでしゃがみ込んでいた少年は、笑いながら立ち上がる。
「やった！妖怪ゲットォ〜！雪女か！お前はあいかわらずドジだな〜」
「な、ちょっと！？若？」
戻ってこない雪女を探しに来た青田坊と黒田坊は、木に吊るされた雪女の姿を見つける。
「あいつどこまで探しに…あ！なんじゃ雪女そのカッコはぁ！？」
「誰がこんなことを…」
そんな二人の足下が急に崩れ、二人は地面に掘られた穴の中に落ちていく。
その様子を見ながら、楽しそうに駆けていくのはー奴良リクオー双子の兄である。
「ま、待ちなさい若っ…」
「総大将ににて…いたずらが…過ぎますぞぉ〜！！」
その様子を眺めながら、ゆっくりと近づいていく幼い少女がいた。
「…けほ、けほ。だいじょうぶ？」
奴良Aー双子の妹である。
「A様ぁ！お願いします〜助けてください」
「うん。いいよ」
少女は優しく笑うと雪女を木から降ろしてやった。
感謝を述べる雪女と一緒に穴に落ちた二人も助け出す。
「ありがとうございます。助かりました」
そう言って感謝する二人に優しく笑うと、兄であるリクオが去って行った方を少し寂しそうに見やる。
そんな少女に気づいた三人は、少し心を痛めた様子で少女に優しく声をかける。
「A様、今日はお身体の具合はよろしいのですか？」
少女は身体が弱いのか、小さく咳を繰り返している。
「…けほ。うん…でも…あんまり動いちゃダメなんだって…」
お兄ちゃんとも、遊びたいな…と小さく呟く声に雪女は優しく手を差し伸べる。
「では、私と一緒にお部屋で遊びましょう」
「…いいの？」
嬉しそうに笑った少女は、隣にいる青田坊と黒田坊も遠慮がちに見やる。
その視線に気づいた二人は、一瞬顔を見合わせると優しく頷く。
「我々もかまいませんよ」
「お付き合いしますぜ、A様」
雪女から伸ばされた手を取ると、少女は嬉しそうに笑った。
「ありがとう、みんな」
正反対の二人の兄妹は、そんなふうに日々を過ごしていた。
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作者名：エッグタルト | 作成日時：2024年1月15日 0時
