突然の訪問者 ページ13
「やっと帰ったかリクオ!!お前まーた学校なんぞに行っとたんか!」
「…あたり前でしょ?中学生なんだから」
「あのなあ…お前はワシの孫。妖怪一家を継ぎ、悪の限りをつくす男にならんかー!!」
「断る」
その日、リクオの後に続いて家に帰って来たAは、もはや恒例と化した祖父と兄のやり取りに思わず苦笑する。
リクオの返答に怒るぬらりひょんの反応までパターン化してきているといっても過言ではない。
そんなことを考えながら玄関を上がった奴良組の様子は、少しだけいつもとは異なっていた。
納豆小僧をはじめ、小妖怪達が何やら高級そうなお菓子を手にしていたからだ。
「じーちゃん!?まさか、またどっかから盗んだの!?悪行はほどほどにって言ってるじゃないか!!人間に迷惑かけたら、ぼくが白い目で見られるんだからね!」
リクオは、ぬらりひょんの胸ぐらを掴みながら"人間として"至極真っ当なことを口にする。
「違いますよリクオ様…。おみやげですよ。久々に…鴆一派の鴆様が来てらっしゃるんですよ」
「え…」
鴆が待つ部屋へと向かうリクオの後ろ姿を見つめながら、Aはそばにいる祖父へと目を向ける。
「…おじいちゃんが呼んだの?」
「よく分かったのう」
祖父は感心したように孫娘を見やる。
「…なんとなく、だけれどね。お兄ちゃんのためなのかなって…」
違った?と真っ直ぐ自分を見つめる少女にぬらりひょんは内心舌を巻く。
よく周りを見ており、状況判断能力にも優れ、物事の本質を正確に見極めることもできる。
それだけに、少し心配になることがないわけでもないのだが。
そういった内心の感情を一切表に出すこともなく「流石じゃのう。全く…リクオにも見習ってほしいもんじゃわい」
「ううん…あれがお兄ちゃんの良さだと思うよ」
「…。Aも、鴆に会いに行ってくるかい?」
その問いかけは、Aも予想していなかった。
まだ小さかった頃は、熱を出していたこともありよくお世話になったものだが…。
「…遠慮しとく。私じゃなくて、お兄ちゃんに会いに来たんだろうし」
そう言うと、納豆小僧から渡された菓子を差し出されるままに受け取りながら自分の部屋へと向かっていく少女に、ぬらりひょんは小さく息をつく。
「…どうしたもんかのう」
少女は常に一線を引き、自分から奴良組のことに関わろうとはしない。
その姿には、どこか寂しさのようなものと一緒に、揺るぎのない決意のようなものも感じられて。
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作者名:エッグタルト | 作成日時:2024年1月15日 0時