護衛 ページ12
やがて一行は食堂へとたどり着いた。
そこには、何かの死骸を食べる妖怪の姿が。
姿を見られたことに反応して襲いかかってくる妖怪達に、悲鳴を上げる清継、島、カナと身構えるリクオ。
そんなリクオの耳に聞こえたのは「リクオ様。だから言ったでしょ?」
一瞬で妖怪を叩きのめす雪女と青田坊の姿。
「こーやって若ぇ妖怪が…奴良組のシマで好き勝手暴れてるわけですよ。うせな。ここはてめーらのシマじゃねえぞ、ガキども」
怯えて一目散に逃げていく妖怪達。
「若…しっかりして下せぇー。あなた様にゃ…やっぱり三代目継いでもらわんと!」
困惑するリクオに雪女も青田坊も冷静に事実を述べていく。
「だから…護衛ですよ。確かカラス天狗が言ったはずですけど。四年前のあの日…これからは必ず御供をつけるって!知らなかったんですか!?ずぅ〜っと一緒に通ってたんですよ!」
「ずぅ〜っと!?きいてない…きいてないぞぉ〜!?」
驚き叫び声を上げるリクオはその顔のままちらりとAの方を振り返る。
気づいたAは、苦笑いを浮かべながら曖昧に頷く。
「いいえ確かに言いました。このカラス天狗が。まったく…心配になって来てみればあんな現代妖怪。妖怪の主となるべきお方が情けのうございますぞ」
いつからいたのか窓の外に現れたのはカラス天狗。
「だからボクは人間なの!!ボクは平和に暮らしたいんだぁ〜!!」
そう絶叫するリクオとそれに対し言い返すカラス天狗の姿に、朝の光景を思い出し苦笑するA。
そこで不意に、リクオの矛先がAに向いた。
「あ!それはそうと…。旧校舎の探索に来て、何かあったらどうするんだよ!A」
「何かって…」
「そうですよ〜。まさかA様までいらっしゃるとは思わなくて…びっくりしたんですから」
雪女や青田坊、カラス天狗まで頷いてこちらを見やる。
「何もないでしょ…。二人が来てたことにも気づいてたし…」
「だとしてもだよ!Aは女の子なんだし、こんな夜遅くに…せめてボクに一声かけてからにしてよ」
「お兄ちゃんに話したら反対するでしょ。私…小さな女の子じゃないよ」
「それはそうだけど…心配になるの」
言い出したら聞かないリクオに少し不満を覚えるAだったが、他の三人も同意するように頷くため仕方なくため息をつく。
「お兄ちゃんがいるんだから…何も心配することないのに」
結局、どうやっても自分は心配をかけることしかできないのだと思い知らされた。
13人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:エッグタルト | 作成日時:2024年1月15日 0時