ひと皿の記憶1 ページ10
「はっ…
残念だったな
まぁ
落ち込む事はないさ
当然の帰結ってやつなんだからな
んじゃ
明日も早いし俺は失礼する
お疲れさん」
小次郎はその場から去ろうとした
「(ダメ…
だっ…た……)」
『恵…
ごめんね
力に…
なれなかった』
Aは頭に巻いていた手拭いを手にかけて解いた
『でも恵は胸張りなよ
あんないい料理作ったんだから』
「(そんなっ…!
違うっ…
Aちゃんは悪くないの…!)」
ひぐっと小さな悲鳴を上げる恵
「(私…
私のせいで…
Aちゃんまで
ごめんさいっ…)」
「実力の差は歴然…
四宮の圧勝という所だな」
「(ごめんなさいｰｰｰｰ!!)」
恵は謝りきれない思いでいた
その時ｰｰｰｰ
パチッ
コインが置かれる音が室内で響いた
投票に入っていたのは恵の皿
そして入れたのは
「勝負はもうついたはずですが
それは何の真似でしょう?」
「む
いやなに
俺はこちらの品を評価したいと思ったのでな
票を投じさせてもらったまでだ」
堂島が恵に票を入れた
「…!?
?」
歩くのを止めた小次郎は言った
そして恵は何がどうなっているのか分からない
「堂島さん…?
いったい何を…」
「…………」
「審査員でもないあんたが何を言い出すんだよ
しかもそっちの料理を評価するだって…?
理解不能だぜ堂島さん」
「本当に分からないか?」
「!?」
堂島は持っていたコインを弾き小次郎はそのコインを受け取った
「田所くんが作った料理…
その中に答えはあるぞｰｰｰｰ」
「……?」
「四宮…
お前今
停滞しているな?」
堂島に言い当てられた小次郎は目を見開いた
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作者名：レンサ | 作成日時：2019年2月13日 0時
