第五符・帝も欲しがる音楽神兄弟・弐 ページ5
「乾叉さん、歌って……？」
「そ。緊叉はすっごく歌がうまいんだよ」
「ねぇ、余計なこと言わないでくれる？」
緊叉さんは明らかに嫌そうな表情で乾叉さんを睨む。
それを物ともせずににこにこと微笑む乾叉さんはこっそり私に教えてくれる。
「緊叉はね、俺っちたちの本来居る世界の帝、まぁ天皇様みたいな存在の人ね。その人から直々に神殿への勧誘受けたんだよ」
「えっ！？ そんなすごい人なんですかっ」
こそこそ話をしていたら緊叉さんにぴしゃりと遮られ、話は終わってしまった。
けれど、どうやら緊叉さんはかなりすごい人らしい。
乾叉さんが言う、『本来居る世界』の帝に勧誘を受けるほど、気に入られていたようだ。
気に入られる要因は、多分緊叉さんの歌なんだと思う。
「緊叉さん。どうか、私にその歌声を聴かせてもらえないでしょうか」
「なんなんだよ、あんたまでそんなこと言って。何言っても歌わないから」
緊叉さんはふいっとそっぽを向いてしまう。
「緊叉――」
「！」
突然、乾叉さんが緊叉さんの肩に手を置いた。
「ま、せっかくだからさ！ 俺っちと緊叉の歌声、聴かせてあげようぜ？」
「……はぁ、うん。わかったよ、歌えばいいんでしょ」
乾叉さんは笑顔を私に向け、緊叉さんはふぅとため息を吐いた。
「じゃ、歌うよ。――『紅椚』(べにくぬぎ)」
―――
こちらも更新遅れて申し訳ありませんでした！！
忙しくなるので、更新がまたまた遅れがちになります、すみません。
次回は兄弟の回想になります。よろしくお願いします！
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作者名：NiKo-KiLL | 作成日時：2015年8月28日 0時
