バト練─ライラvsノエル─ ページ6
空を切る音──敏感に反応したライラは、右に首を傾いだ。
硬い音、発生元は、ライラの後ろの壁。メスが三本仲良く並んでいる。それは、かつてあった勢いを告げるように、未だぐわんぐわんと揺れていた。
「惜しいなぁ。動かなかったら、一発でいけたのに」
「いやだ、碌に的当ても出来ない無能が何か言ってるにゃあ」
ライラはそう口角を上げて言うものの、その目は全く笑っていなかった。唇を大きく上げたその向こう側には、鋭い牙が煌めく。
そうノエルが視認した瞬間、視界の右に影が差した。右から上段への蹴り。身体を畳んで避けると、自然、視線は下がる。
その時、ライラは消えた。軽い跳躍音を残して。
どこへ、と即座にノエルは集中を索敵へと切り替える。周囲は建物に囲まれている。──ならば。
見つけた。
しかし、気づいたと同時に正面から飛んでくる幾本かのナイフに意識が取られる。恐らく目的地はそれぞれ肩、太腿、腹。とりあえず横に大きく飛んだ、が──
その先に明らかな殺気。視界の端に嫌な感じの煌めきもあった。それが振り上げられたと同時に、威嚇するような犬の鳴き声が三音。
まずった、と彼が思った瞬間にはもう刺さったナイフの数メートル前にいた。
標的を失ったライラは、忌々しげに舌打ちをしながらひとまず手で着地──した所で、パン、と乾いた銃声。掠めた鼻先に、一筋赤い線が走る。金の瞳が、一段大きく開かれた。
その後も連続で襲いくる銃弾を、身体を捻って皮の先三寸で避ける。今度舌打ちをするのはノエルの番であった。
そのまま腕をバネにして飛び上がり、彼と相対して着地する。縮こまった瞳孔と、むき出しの牙。全身の毛を逆立たせながら、音にならない声を漏らす。
「──せっかく顔を狙ってあげたのに。ほら、毛皮を傷つけないように、ね。剥ぐとしたら重要だろう、そういう所?」
「ははっ、お気遣い感謝するにゃあ。……でも、あたしは」
再び、彼女の指に爪が煌めく。
「そんな配慮しないからね? みーんな、八つ裂き」
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みゃー子さんのノエルさんお借りしました。ありがとうございます!
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